研修の宿で出た朝食がまた美味しかった。米がすばらしい。昼食の弁当も非常に質の高いものだった。煮物の味わいが淡く、味付けが細やかだ。
「夢の谷」と名付けられた谷地田の田んぼ。休耕田で荒れ地だったところを再生し、冬みずたんぼを実践している。ここに田んぼの方々が酔狂にもイトミミズを祀った神社(!)を建設した、というので僕らも見に行った。
糸蚯蚓と書いてイトミミズと読む。ミミズは畑を肥やしてくれるのはご存知と思うが、自然農の田んぼ、しかも水を張る期間を長くとると田んぼにイトミミズが住み着く。それは土を肥やすだけでなく、糞が水の中にコロイド状の層をつくり雑草の発芽を押さえる。つまり除草にも一役買ってくれるのだ。しかも、イトミミズは魚の餌としては最上のものだから、ドジョウやフナ、そしてトンボのヤゴなどもうんと増える。
かつて農山村では生活排水は川に流す前に溜め(土の穴)を通して沈殿させたのち水路や川に流していた。そこにはイトミミズがいたはずだが、今はコンクリートの枡から塩ビ管などで下水管に流れていく。泥かきや草刈りなどの管理は不要になったが、浄化機能をもつ微生物やイトミミズの生息する余地はなくなった。そして家庭で使われる合成洗剤などがそれに輪をかけて、水の生き物を殺傷している。これは、田んぼの今とよく似ている。
午後に訪れた同じ田んぼ。気温が上がって雪が解け始め、水面が見え始めている。
濁りがあるのは中で微生物が活動している証拠だ。葉緑素をもった藻もいる。
これは水を張っていない田んぼ。雪が解けていない。多雪地帯でも、水があることで雪が解ける。冬の田んぼに水があると無いとでは、生物相に雲泥のちがいがあるのだ。そのちがいは、春から夏にかけて、爆発的に展開する日本の自然の層の厚みに、圧倒的な影響を与えるのは言うまでもない。
オオヒシクイの模型。ヒシの実を食べる大型の水鳥。福島潟は日本最大の越冬地。
福島潟を眺める。潟は干拓で小さくなり、水鳥の生息場所は激減した。その農地は今度は減反で放棄されている場所もある。これを冬みずたんぼで再創造するプランが進んでいる。人の手間はかかるだろう。だが、夢があれば人は自然に動くものだ。
木崎争議資料館。新潟は大きい地主が多く、小作争議が各地で起きた。これは福島潟の変遷を表したパネル。
夜は新潟駅前の東横インヘ投宿。街へくり出して、地魚がたっぷりの寿司を食べた。鮮烈・・・!