京都四国旅(2.京都、町家建築考)


木曽川に霧が流れている。5時起床で一路京都へ。

いま京都は祇園祭りのまっただ中。16日に宵山、そして17日に山鉾巡行がある。

祇園祭りはまだ一度も観たことがない。山鉾を見たい。そして京都の町家には、私たちの人工まみれの暮らしを立て直すヒントがたくさんあるのでは? と思ったのだ。

しかし万年金欠の身の上ゆえ、京の旅館に長逗留はできぬ。それに京都旅を思い立って、ネットで安いビジネスホテルを探したところ、祇園祭ということで空きがない。幸い17日の夜だけは市内に宿がとれた。

で、それまでの2泊はどうするか? 私たちが採った方法は、京都にいちばん近い道の駅に車を止めて車中泊しながら、京都までは電車通勤して祭りと町を観察するという方法である(ウルトラCだな/笑)。


地図で調べると一番近いのは亀岡の道の駅「ガレリア亀岡」。そこから亀岡駅まで徒歩20分(2km)。亀岡駅から京都二条駅まで片道320円。道の駅にはまだ明るい午後2時に着いた。高速道路をいっさい使わず、桐生から亀岡まで下道で2日、というなかなかのペース。二条駅から京都の町を歩き始めたのが15時過ぎであった。

できるだけ荷物を軽くし、Tシャツにバミューダパンツ(←死語?w)、それに桐下駄。京都の夏は暑い。が、風が通ると意外に涼しい。町家はこの風を利用しているのだ。

京都の町家は、道に面した玄関のある間口はとても小さいが、奥に長い長方形の敷地に、目一杯立て込んだ家づくりになっている。これは道に面した間口の広さに税金がかけられたから自然にその形態が生まれたと言われている。しかし、隣との空間がほとんどなく、庭の緑も見当たらない。それで暑くないのだろうか?

これを解決するのが中庭と土間の存在なのだ。町家の細長い長方形の敷地の真ん中、もしくはやや奥には、たいがい庭を穿っている。そこは採光空間であるとともに、風を生み出す装置になっている。京都は盆地なので地下水が豊富なところであった。中庭には井戸が掘られていることが多い。庭に打ち水すれば涼しさは倍加する。道に面した窓の開口部は大きく、格子戸がはめられているので、大きく解放しても中は見えにくくプライベートは守られる上、風が家の中を動いてくれる。中庭と通り面(玄関側)との気温差が風を生み出すわけである。町家はたいがい2階建てなので、天井からの熱気は遮断され、隣の家が接近していることで両サイドからの熱気も遮蔽される。

中庭と格子戸は飾りではなく、家のパーツとして物理的必需品なのである。

町家を改装したカフェに入ってみた。

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奥に庭が見えている。

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この町家は長さがさほどなく、庭の隣は他所の家の壁になっている(通常はもう一棟、蔵がある場合も多い)。庭には井戸がないが手水鉢に水が張られていた。

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家の中のほぼ中心から通り側を眺めたところ。広い開口部に格子戸がかかる。ここを心地よい風が通っていく。広い開口部は日本の軸組建築でなければ造れない(ツーバイフォーなどは壁で保たせる構造なので小窓にならざるを得ない)。

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では、冬はさぞかし寒いのではないか? それを解決しているのは、おそらく土間とカマドである。町家の長手方向の筋に細い土間が通っており、そこが台所で、カマドがしつらえてある。家の中心でカマドに始終火が入っていると、分厚い土のカマドと土間が蓄熱装置になる。いわばカマドは調理道具でありながら薪ストーブでもあるのだ。

これは別の文化財建築の町家だが、かなり大きなカマドがつけられていた。

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かつて大原女と呼ばれる売り子が薪を売りに通りを歩いていたという京都。今でも、細かい薪が町の商店で売られていた。

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文化財建築としてきれいに整備されている町家は、他のものに目を奪われて構造が見えてこないので、庶民的な町家を観察してみよう。下写真の家は、中央のへこんでいるところが中庭だと思われる。壁の高い位置に台所の「煙り抜き」が見えている。

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同じ家の反対側の壁。隣接する家が取り壊され駐車場になっている。扇外機がどこにも見えていないので、この家はクーラーを使っていないのかもしれない。

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この家は道路側に傾きかけていて、丸太で支えを当てている。煙突はかなり太い。カマドが健在なのだろうか。しかし、格子戸はアルミサッシに変わっている。

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町家は細い材で造られたものが多いので、京都を歩いていると補修を迫られている家がかなり見受けられる。在来工法で直すとき助成をはかるようなシステムを造らねば、今後B級の町家はかなりの数が取り壊されてしまうだろう。そしてクーラーの扇外機が新建材の家の前に並ぶことになり、京都の夏は不快で道を歩けなくなる・・・。そうならないことを心から祈る。

一方で、若い世代が古い町家を改装して住んだり、カフェやショップ、ギャラリーに使っている店がとても増えているという。しかし彼らも町家の改装のツボが解っているわけではなく、土壁・漆喰の補修にペンキを塗ってしまったり、というミスマッチもあったりする。また、家をガラス密閉してクーラーをかけ、中庭はただの飾りになっているものもある。そして井戸は閉じられ、カマドは撤去されてガス台が載っている。

北野天満宮周辺の町家の茶店を観察し、船岡温泉(銭湯)でひと風呂浴びて、西陣の糸繰りの音を聞きながら南下。ようやく祇園の祭り囃子が近づいてくる。夜になってものすごい人と屋台の数だった。

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明後日に巡行する各山と鉾の起点の家には、山鉾に飾られるタペストリーや金具などが飾られ、誰でも見れるようになっている。お札を売る浴衣がけの女の子の涼しい歌声を聴きながら、日本の工芸の粋を眺める。

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明日は宵山だが、前日のこの日を宵々山と呼ぶ。工芸品をじっくり見るにはこの日あたりがいいそうだ。明日はさらに人でごった返すであろうから。

長刀鉾の中に入らせてもらった。

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コメント

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