囲炉裏部屋改装中。
ようやく土間が出現して全体像が見え始めてきた囲炉裏部屋。が、細部は悩み中。
とりあえず水回りを急がないと、炊事仕事が面倒くさいので大変。だが、その、前に剥がした合板を処理しなければならならぬ。流し台の残材はまあいいとして、フローリング材は裁断しないと捨てることもできない。
え、捨てる? なんで燃し木にとっておかないの? って、あなた、甘い甘い。いちど合板の切れ端を焚き火で燃してごらんなさい。そのおぞましい臭いに驚くから。いまコレを書いているだけであのイヤな臭いを思い出して『オエ~」と吐きそうになるくらいだ。あれは接着剤と、それに含まれる防カビ剤などの化学物質の臭いである。
では、先日東京で聴いてきたネオニコチノイド農薬の講演スライドをごらんください。接着剤の成分であるホルムアルデヒドはシックハウスの悪玉としてすっかり有名になったが、その他にも、接着剤の中に防虫剤というものが混入されているのだ。
あるいは、別口で床下撒布されるものもあり(これを表面処理系・水希釈系と呼ぶ)、それが合板の裏に吸着していると思われる(主にシロアリ防除剤など)。ホルムアルデヒドだけでも虫は来ないくらい十分化学臭いと思うのだが、メーカーはこれでもかこれでもか、と化学物質を入れてくるらしい。
接着剤混入用には現在8種類の、表面処理系には4種の化学殺虫剤が「(社)木材保存協会」認定され、使われている。現在ではその中の5種に、ネオニコチノイド系が使われている。
ちなみに(社)日本木材保存協会とは、「木材保存とは、木材を長持ちさせることです。これによって貴重な森林資源を守り、ひいては森林を守ることになるのです。木材保存は、かけがえのない地球環境を守ることにもつながっています。当協会は、木材保存をあらゆる角度からとりあげて調査研究し、その成果を社会に広めるために活動しています」ということらしい(ホームページより)。
しかし、2003年には発砲ウレタン断熱施工の床下処理にネオニコチノイド農薬が使われ、家族全員が被爆、居住約1ヶ月後に40代男性→痴呆、言語障害、記憶障害で入院、1年休職。母→痴呆で特別養護老人ホームへ。妻→化学物質過敏症を発症、流産。といった悲惨な事故も起きている。
そして、残材を使い回すことができない、燃やせない、ということが悲しい。これが本当に「木材保存と地球環境を守る」ことになるのだろうか? 人体まで冒しながら。
というわけで、合板類はゴミ置き場に退散願った(明日がゴミの日)。これは桐生市郊外のゴミ焼却場で燃やされるはずである。遠く東南アジアの熱帯雨林からやてきた木材は桂剥きされて合板となり、ここ日本の群馬の空に煙となって消えゆくのである。灰はどこか他県の山の中にある最終処分場に埋め立られるのであろう。今は高熱処理なので、ばい煙から有害物質はあまり出ないらしい(ホントですか? 武田教授)。
途中でトラさんが囲炉裏部屋を見に来た。「また、薪もらってくんねえかな」というのでリヤカーで5往復。
いちど薪として使ってみたかったハリエンジュ(ニセアカシア)の丸太を大量に貰った。いちど薪として使ってみたかったハリエンジュ(ニセアカシア)の丸太を大量に貰った。
木はやっぱり無垢材がいいと思う。ねじれ、割れがあるから、大工が工夫する仕事が生まれる。最後は焚き物に使えるのがいい。ちなみに木を燃やすことによって生まれる木灰はアルカリ性だから、有毒な酸化物を吸着する(化学反応によって無毒化される)。囲炉裏部屋を雑巾がけしながら使っているうちに、有害物質もなくなるのではあるまいか。土間と土壁と囲炉裏のある部屋のなんともいえない爽やかさ、それを皆さんにぜひ味わってもらいたい「忍木菟屋」改造計画なのであります。
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参考/『天下無双の建築学入門』藤森照信(ちくま新書 2001)p.91~「シック・ハウスの代わりにシックイ・ハウスを」
▼(財)木材木材保存協会のホームページより認定薬剤のエクセル・ファイルをダウンロードすることができる。
http://www.mokuzaihozon.org/info/yakuzai/
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