所有山林への無関心/集落支援員in椹森(3)


旧アトリエでたっぷり囲炉裏に当たってエネルギー補給。翌日は椹森集落へ。

これで9月は5日間のノルマをこなしたわけだが、様々な人にお会いして、スギ・ヒノキ山林をほとんどの人が所有しているにも関わらずに、多くの人が無関心に背を向けていることに、あらためて衝撃を受けた。

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「山は持ってはいるが、どのくらいあるかわからない」「金になると言われて頑張って植えて育てたが、まったくダメで、騙された思いだ」「いまは伐って売ろうとしたら赤字になり、かえって金を取られてしまう」というネガティブな声が次々に聞かれた。

囲炉裏はすべての家で閉じられている。わずかに、薪ストーブと薪風呂と、掘りごたつに炭を使う家が数件。森=木質素材との対話がいま、ほとんどないのだ。新世代の多い住居でこれが顕著だった。

広さも境界も把握できていない小規模所有者の山を、森林組合は間伐には行かない。ある程度の広さがなければ補助金がおりないし、小さければ団地化しなければならないのでなお面倒だ。補助金をもらうためには境界を確認し、測量をし、チェックを受けなければならないからだ。

しかし、これだけ急峻な山に、根の浅い挿し木苗のスギがびっしりと植えられているとなれば、地滑りや土砂崩壊の危険は刻々と迫っているのではないだろうか?

実は少し前に関西のWさんという方からメールをいただいた。その方は、あちこちでやっている植樹祭に参加したり、植樹地を見学しているうちに疑問がわき、鋸谷さんとの共著『図解 これならできる山づくり』にたどり着いた。そして、最近知ったという自然保護団体「日本熊森協会」のスタッフに、巻枯らし間伐をやってはどうかと勧めた、という。

すると、いろいろ質問があったので私はWさんを介してメールでお答えし、関西なら鋸谷さんの森は近いから見学に行ったらどうか? とつなぎ役をした。すると、日本熊森協会の森山会長らは、本当に鋸谷さんの所に行き、その結果「熊森協会の会長はじめスタッフの方々も、鋸谷さんの深い知見に感動しきりで、これで大きく巻き枯らしに動くことになりそうです。」ということになったのである。

私はWさんから森山会長の講演録と講演CDを送っていただき、その内容を確認した。そもそもの発端は、森山さんが理科の先生で、その生徒たちから熊が棲めないいまの日本の森事情を突きつけられたことから始まる。

日本熊森協会は知ってはいた。内容は賛同できる。しかし、動物愛護に偏ったとりまきがいることや、人工林をはなから悪とみなすことや、人数を増やして圧力団体になろうとする方向には、疑問を持たないではなかった。しかし森山会長の真摯さと、彼女を突き上げた生徒たちの思いは痛いほど解るし(それは私自身の思いそのものでもある)、なにより影響力の強い熊森が巻き枯らしを推進すれば、社会的影響は非常に大きい。

そして、これをきっかけに日本の森と人工林の真実が、大マスコミに矯正をはかりつつ、民主党の森林政策シフトとともに一気に浸透するなら凄いことになる。日本の森は順応性が高く、いい方向に手を加えればどんどん変わっていくのである。

実は実は、10/4に東京の早稲田大学で日本熊森協会主催の「第3回 くまもり東京シンポジウム/奥山の生物多様性をとりもどそう」が開かれる。ここで、巻き枯らし宣言をやっていただければ、爆発的な威力をもたらすだろう。

巻き枯らし間伐は素人にも可能で、その結果、土砂崩壊を防ぎ、人工林の中に広葉樹が生え、動物たちも暮らしやすくなる。東京近辺在住の方は、10/4(明後日ですが)にぜひ歴史的瞬間の目撃者になって、ブログや書き込み等で報告していただけると嬉しい。

私は町内旅行で草津に行くので早稲田シンポジウムには行けませんw( ̄▽ ̄;)。あしからず。


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