2月27日、佐賀県武雄市で講演があるのはお知らせしたが、せっかく九州まで来たのだからと、パーマカルチャーネットワーク九州のYさんが3月2日に熊本の高森町で講演を組んでくれることになった。
場所:阿蘇フォークスクール
熊本県阿蘇郡高森町大字上色見1390-1
0967-62-0027第一部 18:00~19:00 大内正伸 講演
「自然を暮しに生かす愉しみと技術」第二部 19:00~21:00 田楽と音楽と囲炉裏談義
高森名物の囲炉裏での田楽を楽しみます(お酒も入ります)。
SHIZUKU、他のバンドも登場します。
わ、楽しそうだな。そして午前中は平野虎丸さんの森を案内していただけることになった!
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さて、今回の講演が生まれたいきさつは。拙著『山で暮らす愉しみと基本の技術』に感動された女性建築士Sさんが、ご自分の所属するNPOで主催するべく動いてくれたのだった。そのSさんのブログをめくっていると、ちょっと素敵な写真と文をみつけた。ここにコピペしてみる。
SさんのNPOの家創り塾で改修工事中の倉庫が、ちょうど土壁の下地(竹小舞)ができて一部の壁に土が塗られているところ。それを見て・・・
道を通る人が、
「懐かしかねぇ。小さい時に手伝いしよったよ。」
とか、
「昔はうちも壁はこんなやったもんね~。」
と言っていたり、話しかけてきたりしてくれます。懐かしいと感じるだけじゃなく、
昔話にするんじゃなく、
またやりましょうよ~、こんな家づくり。だってこんなに楽しいんですよ。
だってこんなにキレイなんですよ。いつごろからか、ずっと長い間人々の暮らしの中であたりまえだった
「結い」「もやい」
が薄れはじめ、それに伴う様々な状況の変化は、あちらこちらで感じられる。冠婚葬祭、田や山の整備、地区の行事やお祭りの役割分担、
家づくりに関しても、そう。
えつり、土壁塗り、たたき、屋根葺き・・・
大工さんじゃなくても、左官さんじゃなくても、
昔はみんなが総出で加勢をし、その家の祝い事に喜んだ。なぜ無くなってしまったのか。
日々の仕事に追われているから?
みんな、自分のことしか考えなくなってしまったから?
そういうシステムが必要ないような世の中になってしまったから?
見返りを求めるばかりに、
損か徳か、だれがもうかってだれが損するのか・・などと、考えてしまうから?要素はいろんなところにあるだろうし、ここまで来たら誰が悪いとも言えないし、
何より、そんなことを言っててもひとつもはじまらない。
ならば、やりやすいところからまた始めたらいい。
たとえば・・・
公民館などの壁塗りをみんなでできたら、みんながそこに集まるだろう。
近くのお宮の屋根葺き替えなんかできたら、日本人がずっとずっと大事にしてきた、
神々を崇める気持ちがまた戻ってくるかも知れない。、
共同販売所なんかつくったら、みんなが自慢の作品を持ち寄りで販売したりして、笑顔のたまり場になるかも。
すると口コミで観光客も増えたりして・・・
なぜなら、自分の手が加わったもの、場所ほど、愛着がわくから。それだけじゃなく、昔ながらのすばらしい技術が、細くとも長く生き延びるチャンスにもなる。
私はこれを読んで、いま集落支援員で関わっている持倉や椹森に道や施設をつくるときの、皆の姿を思い描いた。
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さて、もうひとつ拙著にまつわるトピックス。
1週間ほど前のこと、見知らぬ読者の方から突然電話。長野の山に住み、石垣積みを生業とし、同時に天然酵母のパンを焼いて移動販売しているという60代の男性から。17年石積みの仕事をしているというこの方からの、本の内容の賞賛の電話であった。
で、「忍木菟屋」はいつ開店されるのですか? と訊かれてかなり焦る(笑)。
おかげさまで拙著『山で暮らす 愉しみと基本の技術』(農文協)は好評で、初版は数ヶ月で売り切れ、現在3刷目に入り、既に1万部となった。
技術書だけれど、私はこれを「思想書でもある」との意気込みで書いた。いまどきこれだけイラスト満載の本も少なくなったナ。読書として一般の方々にも楽しんでもらいたいと思っている。