忙しくてなかなか水戸の実家に帰れない。30日が父の命日なので、桐生から若宮の豆腐・湯葉のセットを送ることにした。若宮はノコギリ屋根の工場を改装して豆腐会席をやっている店だ。国産大豆、水は桐生川の源流水を使うというこだわりようである。生湯葉や豆腐も店頭販売しており、地方発送もしてくれる。
私たちも自家用に豆腐と油揚とおから(湯葉入り卯の花)を買ってみた。
若宮を何で知ったかというと『きりゅう百景』という小冊子を桐生駅の港内にある売店で入手したのだ。A5版206ページ。初版2008年、佐々木正純という人が企画・編集・著者と奥付けにある。桐生の新旧の建物を網羅(とくにかつての織物工場であるノコギリ屋根の工場は完全版)しており、桐生まちなかを探索するには最上のガイドブックといってよい。
若宮の豆腐は旨かった。とくに油揚に感嘆した。私は昔から豆腐と油揚げが大好きで、東京在住時代には、引っ越すたびにその町の一番美味い豆腐屋を探し、よく自転車で買いに行ったものだ。
実際、美味い豆腐屋が近所にあると本当に便利なものである。鰹節で出汁をとって油揚げを入れた味噌汁をつくる。豆腐にショウガとネギと削り立ての鰹節をかける。もう、それだけでごちそうであり、あとは漬け物でもあれば十分なのだ。
午後は高崎図書館へ。ひさしぶりにシャンゴでパスタを食べる。「カチャトラと木のこのスパゲッテイ」Mサイズ819円。太めのパスタにトマトベースの鶏肉と茸。ん~相変わらず美味しい。
この地、高崎は、土木学会’09年度の「土木遺産」に選ばれた全国でも珍しい砂や小石の層でろ過する「緩速ろ過方式」(浄水過程で薬品を一切使用しない)の剣崎浄水場の水が、市内に行き渡っている。だから、パスタやうどん屋の美味さを際立たせるのだ。
シャンゴはその店にも水彩やリトグラフの画や版画のいいのを掛けてある。それがとてもいい。この本店は入り口でベルナール・ビュッフェの対の作品が出迎えてくれる。
水がよく、畜産県であり、豆文化、小麦文化が長らくあることが、群馬の食を特徴づけている。