最近の国産材事情/庚申様と花見会


丸太市場のKさんから電話。知り合いが事務所に来ていて『山で暮らす 愉しみと基本の技術』の本を欲しいというので持ってきてくれないか、と。ご年配の男性であったが新聞広告で見て気になっていたのだそうだ。

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おかげさまで『山で暮らす~』は売れ筋絶好調で、昨年6月の出版から1年もたたずに既に4刷目が出た。現在の発行部数は13,000部。値段の高い大型本がこれだけ売れるというのは、やっぱり世に求められているテーマなのだろう。


さて、先日渡した「愛工房」の低温乾燥機の資料をKさんは徹夜で読んだそうで、ちょっと興奮気味でもう導入する気になっておられるようだ。楽しみである。

買い付けに来ていたS市の製材所の方のお話なども聞いた。Kさんの近くにいると木材流通の裏事情が解って面白い。中でもいちばん美味しい県産材のスギが、岩手までトラック輸送されて、合板になっているというのは悲哀であった。

最近『国産材はなぜ売れなかったのか』荻大陸著(日本林業調査会)という本を読んだ。国産材が使われないのは外材輸入のせいばかりではない。外材は最初はたしかに安かったが、太さをごまかしたり乾燥が未熟であったりという日本の製材業界の体質が、外材一辺倒の流れを加速させたという(ダイジェストインタビューhttp://www.kj-web.or.jp/gekkan/gaizai.htm

一方で、生き残りをかけようと山側はヤクモノ生産を目指したところもあった。節無しのヒノキ柱や(節ありの10倍以上高い)、床柱用の磨き丸太、柾目のスギ板・柱などである。しかし、和室よりも洋室が好まれ、大壁工法(柱が見えない)が多くなるにつれて、需要はがくんと減ってしまった。

大手ハウスメーカーはすでに「乾燥材を集成材に加工(接着剤必須)してプレカット(金物前提の軸組)」の方向にシフトしている。最も高くつくのは大工の人件費だから。そして建築後のクレームを恐れるから。ようするに、このほうがラクで早いのだ。

ということは、高度な大工技術はほとんど消えてしまうということだ。コストと利潤を追求するあまり、もはや家づくりはプラモデル以下になってしまった。端材を燃やすことすらできない大工現場(火焚き禁止だけでなく、燃やす木がないのだ。臭い毒ガスが出るから)。そして家の中は電気製品だらけとなる。

先日。家電製品をチェックしてみたが、「うわああ、こんなものまで出ているのか。でも、これってみんな囲炉裏1コあればできるよね」と、笑ってしまったぞ。

燃し木の文化と大工技術の復活を! そして新しい乾燥技術が非常に重要になってくるだろう。

また、国産材が売れる売れないの前に、日本の山の質や構造的な見直・変革が必要だ。その指針はいまのところあやふやなままである。林野庁全予算のうち間伐など現場仕事に回る予算は、なんと全体の8%しかないという(虎丸さんのブログから)

夕刻、地区の「庚申様」のお祭りに出る。その後、花見会に出席。居酒屋Iの座敷で飲み会である。長老たちにつかまってしこたま飲まされた。なにしろ、健康上の理由で半数くらいの方は酒を飲まないのだ。

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現在の毒づけ薬剤づけ住宅は本当に問題であると思う。健康住宅を復活させよう。


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