畑の花と井戸の話


旧アトリエから移植したフェンネルが庭で花を咲かせた。フェンネルの花には虫たちがよくやって来る。ムラサキシジミが吸蜜に。こちらでも、かしぐねのシラカシで育ったものかもしれない。

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小麦の脱穀に厭きたので、畑に行ってみる。スイカがだんだん大きくなってくるのが可愛くて・・・。

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スイカといえばこの間井戸水に足をつけながら食べたとき書いたけど、井戸水の水温は年間を通して一定なんですよね。厳冬期は温かく感じるほどなのだけど、夏は冷たく感じる。もう、夏が暑ければ暑いほど、冷たく感じるわけ(旧アトリエは沢の湧水から引いていたので、夏はもちろん冷たいけれども、冬はもっと冷たかった)。

そしてその冷たさに底力がある。たらいやバケツに入れた井戸水が足を突っ込んでいても温くならないのです。「うっそぉ~」と思うくらいずっと冷たい。これは何なんだろう? 考えてみれば、井戸というのは生まれたての清水であるわけです。鮮度がある。だから「力」があるのではないだろうか。

水道は? 戦後主流になった急速ろ過の浄水場では、まず源水の濁りを速やかに除去するために金属塩(硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウムなど)の薬品を注入して濁りの成分をフロック状に固め、傾斜版やチューブ状の大量の接触面積をもった機械(といっても物理的な装置で単純なもの)が入った池をを通過させて沈殿しやすくする。その後、上澄みを粗めの砂でろ過して塩素を注入して各家に送られる(アルミニウムは人体に有害な物質で、アルツハイマーの原因と疑われているものでもある)。

これだけの手間をかけた上に、つねに配管材の中で淀んでいる時間がある。道路の下に埋められている配管は鋳鉄管であり、家内は移管は鉛管であったり、塩ビ管であったりする。当然、微量ではあるけれども、その成分が水の中にとけ込む。

考えてみれば井戸水は、「砂層に存在する微生物の分解作用によって水の中の浮遊物を取り除くき、同時に細菌やいやなにおいなども一緒に除去する」という「緩速ろ過」に通じるところがある。緩速ろ過は、ただコンクリートで囲った大きな池に砂が入っているだけのごく単純な装置で、設計も安く造れる。参考・三原市水道部

いま、桐生市内を見渡しても、井戸はあまり使われていない。電動ポンプはとても壊れやすく、修理代が高いので、いったん電動にしてしまうと、壊れたらもう井戸は使わなくなり、水道に変えてしまった、という家も多い。手動のがちゃぽんをなぜ使わないのか不思議でならない。

それだけではなく水道業界に「井戸を使わせないで水道に切り替えさせる」という強い意思が働いているのではないだろうか。水道は大きなビジネスなのだ。昨今のピロリ菌の話題で恐怖を植え付け井戸から遠ざけようとしているのも、そのような意思が働いているのでは?(私たちは梅干し食べてるから全然平気だよ)。

井戸水はタダ。囲炉裏もタダ。井戸と囲炉裏を使っていると、敷地の自然、周囲の山の自然に眼が向く。これがまたとても良いことなのだ。

戦後の高度成長のとき、電化製品を使うことが善で、むかしの暮らしにしがみついていることがダサイ、というような風潮や世間の目があって、本当は井戸や囲炉裏を愛していた人も、手放さざるを得なかった。いま、スローライフやロハスなどという言葉が一人歩きしているけれども、井戸と囲炉裏に目を向けないロハス者がいたら、それは偽者だと思う。

金ゴマの花が咲いた。収穫が楽しみ。

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ニンジンの花。フェンネルと同じセリ科なので花のカタチが同じ。種を採るつもり。

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シュンギクも食べきれないで放っておいたら開花(笑)。畑が花畑になっており、虫たちの楽園でもある自然農なのです。雑草もアリ、それに依存しているミツバチもいる。

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夜ネットしていたら自著の『山を育てる道づくり』がアマゾンの建築・土木部門で1位になっていた。

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