屋久島・大地の再生講座(4)/結(ゆい)が教えるもの


前夜は主催者の勧めで矢野さんと同じホテルに泊まった。フィールドを離れたら離れたで、また面白い話が聞けるものである。大学のとき歩いた沖縄のヤンバルの森が、30年ぶりに歩いたらものすごく荒廃していた。それを、現地の役人と歩いたのだが、役人はまったく気づいていなかった、と。

田んぼは、水を溜めるだけでなく、ゆっくり、程よく流しておく・・・それだけで稲の生育が劇的に良くなる。また、ため池は最高の水脈装置 である・・・というような、なんともエキサイティングな話が飛び出してくる。

前日は参加者が解散した後も、矢野さんは真っ暗になるまで重機を動かし続け、スタッフも振り回されたようだが、そんなコワモテの反面、話してみるとお茶目な一面も持っている。仕事を終え、スタッフの車に同乗して入りに行った尾野間(おのあいだ)温泉で、

「矢野さんの話からすると、自分の本に少し間違ったことを書いちゃったなぁ・・・」と私が言うと、

「そんなの、こっそり直しちゃえばいいんだよ」などと悪ガキにようにつぶやいて、風呂場の皆を笑わすのだった。

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