笠間と結城


前日、水戸への途中、笠間に立ち寄って「茨城県陶芸美術館」で板谷波山(いたや・はざん1879~1953)の作品を見たのを書き忘れた。植物のモチーフの彫り模様を施した気品ある白磁や彩磁の花瓶がすばらしく圧倒された。

朝、水戸の編集者Sさんといつものファミレスで打ち合わせ。年度内におさめる筑波山周辺のイラストマップを引き受けることになりあわただしい。再来週は取材にまた水戸から県南に行くことになりそうだ。

Sさんとのイラストマップの仕事も長い。僕らは一般のお手軽なイラストマップの手法とちがい、現地踏査や入念な構成を経て何倍もの手間をかけ、これまで様々な絵地図を送り出してきた。この茨城の自然と風土のすばらしを、高らかに歌い上げるべく手法をこらしてきたつもりだ。が、いかんせん様々な障害があり、納得のいく仕事になったと言えないものも多い。また、著作権買い取りなので、作品を再版できなかったり、ネームが入らないので内容を剽窃されたりもして、何度か悔しい思いをしてきた。ところが、さすがに努力が評価されてきたのかSさんにタイムリーな連載の話が来ているという。将来は出版物になれば、それが最も実りある完成だ。楽しみである。

その後、弘道館を見、旧県庁の観光コーナーで資料を入手して結城へ。結城つむぎをぜひ見たいという相方のたっての希望だった。結城つむぎは絹糸の紡ぎ方から糸の染色、原始的ないざり織りという手法から、すべてが機械化ができない手のかかる織物である。しかし、結城にはまだまだ織り手がいて、資料館などを個人が開いていたりする。ギャラリーものぞいてきた。古い建物がまだ現役で機能している風景がよかった。