シドキとキャラブキ


久々に児玉の助っ人Y氏がやってきてアトリエのスギ林に入った。まばらに広葉樹が伸びて、新緑の色を光に輝かせている。昨年からY氏もいっしょに選木し間伐した成果が見え始めている。「おお、明るくなったねぇ。気持ちイイねぇ」と声を漏らすY氏。足下にはスミレが咲いている。ケヤキやカエデが元気に育ち始めている。この広葉樹も大事に育てていこう。楽しみである。

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列状間伐


この日、十石峠で列状間伐の山を見た。なんだかみっともない姿だよね。列状間伐というのは、とにかく緊急に間伐が必用だからということで、選木の手間をかけず列に縞状に伐っていくもの。巻き枯らし間伐について、よく外観が悪いと言われるけれども、巻き枯らしは4~5年もすれば枯れ跡は目立たなくなり、自然にとけ込んでしまう。列状はかなり長い間、シマシマの外観が残ってしまう。

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現在の荒廃林に選木をせず、列状に伐るということは、いい木も悪い木も混ぜて伐るということで、もしその木々を収穫するならムダが多いし、すべて伐り置きするなら、いい木がもったいないということになる。山を、木を愛していないという感が否めないのである。


山梨講演の下見へ


今月末から来月にかけて、山梨県の増穂町で講演と間伐講習会をやることになっている。その下見にでかけた。秩父往還(雁坂峠)を通っていった。荒川再源流に巨大なダム建設現場をみてゲンナリしたが、峠を越えると群馬では見られぬ形の養蚕民家が現れ、富士山が見えてがぜん嬉しくなる。増穂町は富士山のビューポイントとして知られ、写真家たちが集まる。

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スーパー林道の怪


西上州の名山、御荷鉾山の近くにわがアトリエはある。ここは神流川沿いの国道から2キロほど山に上がったところであり、さらに上に伸びた林道をたどると、そこにスーパー林道なるものが走っている。この御荷鉾林道、関東一のロング林道などといわれ、オフローダーのツーリング姿もよく見かける。

「スーパー林道」とは

「奥地の森林資源開発を主目的とし、過疎振興をも念頭に」1965年から着工(事業主体は森林開発公団)、90年度まで全国23路線、1,080キロを完成させた特定森林開発林道事業。

御荷鉾林道もその一つである。未舗装とはいえ(現在は舗装部分も多い)幅4.6メートルという林道の出現は、当時は画期的なことであり、まさに「スーパー」な林道だった。が、その環境破壊度も計り知れない。とはいえ、われわれ山村に住む生活者にはたしかに便利な林道なのだが、結果として林業振興や過疎の歯止めには結びつかなかった。

この御荷鉾スーパー林道を行くと地元の森林組合作業員がちょぼちょぼと仕事をしている姿も見かけるが、いちばん利用しているのは御荷鉾山や雨降山を登るハイカーや山菜採り、そして前述のライダーたちかもしれない。ここにけったいな看板をみつけた。林道南面の鮎川支流の砂防堤工事の位置図である。その数の多さにも驚くが、

「森林地帯のコンクリート構造物における景観デザインの可能性を追求するため、構造物ごとに形を変えてデザインしています」

とある。

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