一日囲炉裏を燃やしながら、あれこれ実験したりする。僕も寄稿している『現代農業』最新号の灰特集がなかなか面白い。囲炉裏を使うと毎日灰まみれになるが、この灰というやつなかなかのスグレモノで、健康にも役立つらしい。灰というのは有機物が燃えてミネラル成分が残ったものだ。また、煙の中にも気化しやすいミネラルが含まれているという。灰を使った「あくまき」という郷土料理を鹿児島で食べたことがあるが、これは灰の成分を利用した健康食だという。灰を入れた入浴剤は疲れ知らずの身体を作るという。ということは、囲炉裏の灰まみれ生活は、なんと健康法にもなるではないか!
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囲炉裏考(その2)
マッキーをしのぐ感動
囲炉裏を使い始めて一週間が過ぎた。僕はキャンプが好きで、長年「焚き火」とつきあってきた。この感覚を実生活に取り入れようと、前の家では庭先で簡易バーベキュをしたり火鉢を使ったりもした。アトリエに来てからは、廃品のカマドを使って煮炊きや暖をとる実験を繰り返し、もちろん火鉢や石を組んだ炉での焚き火もやった。マッキー君の感動も大きかった。しかし、この囲炉裏はそれをしのぐ感動と驚きを与えてくれた。
カーテンウォール/囲炉裏の下窓
今日はのんびりしよう、と思っていたが、改装途中の囲炉裏部屋が気になって仕方がない。掃除を繰り返し、廃材を材料に棚を直したりした。まだ大工仕事に慣れないので時間を食う。それにしても囲炉裏部屋の下窓は正解だった。これで空間の雰囲気ががらりと変わった。古民家は囲炉裏でいぶされ壁・天井・柱が黒くなって、どうしても暗くなってしまう。
囲炉裏部屋に光の矢が
囲炉裏の奥の壁は、備え付けの戸棚になっていたのだが、前住人はこれに石膏ボードをかぶせて壁にしていたのだった。アトリエに来た当初、僕らはこの壁の外側に回ると戸棚らしき出っ張りがあることに気づき、ここに封印されているものがある気がして、この壁を外してしまうことにしたのだ。バールでその石膏ボードを剥がしていくと、黒く燻された戸棚が現れた。中は空だった。そして底板は抜けていて地面が見えた。
ここはおそらく神棚か仏壇が安置されていた場所に思える。囲炉裏の正面でもあり主人が座る位置の背に当たる重要な位置だ。開封してから今までは、そこはとりあえず布などをかけてごまかしていたのだが、囲炉裏ができて、いよいよ改装のときがきた。
囲炉裏は最強の炉なのだ
「おきりこみ」は翌朝の汁がしみ込んでドロドロになった煮返しが旨い、と聞いていたが、ううむ、たしかに旨い。ほとんどクリームシチューだ。囲炉裏4日目。煙は慣れているけど、灰の飛びがこれほどとは思わなかった。マメに掃除が必要だ。しかし、囲炉裏は薪を超ローコストに使う最も優れた方法であるとの確信を持った。