囲炉裏部屋に光の矢が


囲炉裏の奥の壁は、備え付けの戸棚になっていたのだが、前住人はこれに石膏ボードをかぶせて壁にしていたのだった。アトリエに来た当初、僕らはこの壁の外側に回ると戸棚らしき出っ張りがあることに気づき、ここに封印されているものがある気がして、この壁を外してしまうことにしたのだ。バールでその石膏ボードを剥がしていくと、黒く燻された戸棚が現れた。中は空だった。そして底板は抜けていて地面が見えた。

ここはおそらく神棚か仏壇が安置されていた場所に思える。囲炉裏の正面でもあり主人が座る位置の背に当たる重要な位置だ。開封してから今までは、そこはとりあえず布などをかけてごまかしていたのだが、囲炉裏ができて、いよいよ改装のときがきた。

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まずは抜けた底に板を貼る。板はもらって来た廃材を釘抜きし、割れた部分を外してサイズに切り、鉋を軽くかけたもの。きれいに手鉋をかけるのは大変だし、古材の味を残せば違和感がなく、塗装の必要がない。

さらに、本来は板張りは「サネ」といって、隣の板との接続部分に凹凸をつくり、はめ込むことですき間をふさぎ、強度も増すのだが、そんな面倒なことはいちいちやっていられない。いや、数万円だせばそのサネ切りをやってのける電動工具も存在するのだが、アトリエはいまそれを持っていないのだ。

そこですき間風と断熱対策として焼酎の酒パックを保存しておいたのがあったので、それを切ってガムテープでつないで、板の下に張った(酒パックの紙は厚みがあり内側にアルミの被膜がある)。

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さて戸棚部分の床板はできた。次に抜けている下部の壁を板でふさぐのだが、囲炉裏部屋からその空間を眺めると石垣が見えてなかなかいい。いっそガラスをはめて下窓にしたらどうか?「いいね!」「うんうん」「でもガラスとか枠とかどうしよう?」で、考えたのが、前に廃棄処分するのをもらって荷上げしておいたガラス戸。これを裏側から打ち付け、横のすき間を板でふさいだ。

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相方には畳の調整をやってもらった。囲炉裏部屋には大黒柱があって、角を取らないとぴたりとはまらない。畳といっても最近のものは表だけ畳風で中は木質の合成板が入っていて、ノコギリで切ることができる。

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というわけで、あの倉庫と化していた部屋が、夏のY先生のお話会をきっかけに畳部屋に変わり、いま新たな囲炉裏部屋に変わりつつある。畳はなんといっても断熱効果があり床からの寒気を遮断してくれる。囲炉裏部屋は意外にも温かいのである。そして薪ストーブのマッキー君に比べて驚くほど薪の消費量が少ないのであった。

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