前々回の講座で、埼玉のOさんがホットな話題を連れてきた。荒廃人工林に「きらめ樹間伐」をしている現場なのだが、回復が遅く「大地の再生」的な処置が必要なのではないか、と考え始めているという。そこで矢野さんを呼ぶイベントが仕掛けられたのだ。私は先月から屋久島〜Gomyoのタンドールづくり〜上野原(山梨)と旅続きで大変なのだが、大地の再生と人工林の初めてのコラボである。きらめ樹の現場もまだ見たことがない。これは行かねばなるまい。
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千葉、台風15号、スギ林大崩壊
千葉市内のホテルを早朝に出て、館山道路から南下してみる。道道に自衛隊の災害派遣車両や、電力会社のクレーン車などが目立ち始める。高速道路の両側に、早くもあきらかに今回の風害と思われる山肌が現れて、まず袖ヶ浦のICで降りて見ると、街道沿いに人工林の崩壊跡がすぐに見つかった。
果樹園を守る犬、門入の里
朝から雨だったが、Gomyo倶楽部のイベントは決行され、怪我もなく無事終了。その後、N先生に石田高校の果樹園と学校林を案内してもらった。果樹園には2匹の柴犬がいて、サルやイノシシの被害を防いでいる。
熊野古道・滝尻付近の崩壊地工事
四国高松から熊野へ行くときは、徳島からフェリーで行くか陸路で大阪回りでいくか毎度迷うが、今回は陸路で。高速を乗り継いで、南紀田辺までおよそ300kmの距離だ。朝出て早朝のうどんを1杯食い、途中どこかのパーキングでトイレ休憩を入れて、昼には熊野に到着できる。
関東に住んでいればこうはいかない。だから熊野の森を広く深く取材するには、関西圏に住まうことが非常に重要な条件になってくる。私の場合は、四国に住むことで熊野を描くことを与えられた。
田辺で高速を下りて、熊野の山間部に入る最も重要なルートは国道311になるわけだが、最初に冨田川の左岸に人工林に覆われた山が目に付き始め、いよいよ山に差し掛かるというところで正面に、びっしりとヒノキに覆われた、それは見事な間伐遅れの人工林の山が近づいてくる。
この山は私が初めて熊野を訪れた2003年のときも、目立って印象的だったので撮影した記憶があるが、当時とまったく同じ姿のままで、ある意味感動してしまう。そして面白いことに、この道沿いには森林組合の事務所があるのだ。右下の真新しいコンクリート処理は、2011紀伊半島豪雨のさいのものである。
史上最悪の森林政策事業
東京都が花粉症対策として広範囲のスギ・ヒノキ人工林を皆伐し、花粉飛びの少ない品種に植え変えるという政策を打ち出した。その新聞記事(『読売新聞』06.4.4)を読んで衝撃を受けた。まさかここまでやるとは・・・。