まず林道を入れた
石城さんが新しい森林整備をするにあたって、まず始めたのは林道整備である。とくに都市林の区分は、手間ひまのかかる細やかな仕事になるはずなので、効率的にやるにはどうしても道が必要なのだ。
「そもそも、林道は人と森林をつなぐもっとも重要な媒体である。『山の肥やしは草鞋(わらじ)の足跡』という古い言葉がある。林を育てるのにいちばん大切なのは絶えず人が見回ることだ、という意味である。その林の見回りは、林道を歩くことで行なわれる。労働、散策、自然観察を問わず、人間は林道を歩くことによって初めて、人間の知恵と感性をもって森に接することが可能になる」(84ページ)
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