大地の再生講座@仙台秀明/開発と樹木の引っ越し


前夜は三春の温泉に入って、レンタカーを私の運転で仙台まで走った。途中、SAで食事しながら、矢野さんの造園屋時代の修業話を興味深く聴いた。仙台はいつもの桂旅館だった。夜も遅く到着したのだが、矢野さんの誘いで缶ビールを飲みながら、宿の部屋でまた1時間くらい話し込んだ。

翌朝はコンクリートと新建材住宅に囲まれた仙台市内を現場へと走るのだが、畑などの農地や緑地公園にまったく出会わない。矢野さんはこの宅地の中を走っていると「道が道のように感じられず、感覚がおかしくなってくる・・・」と言った。

地図で見ても凄まじい開発造成ぶりで、赤丸が「仙台秀明」の現場である。北に広がる南光台(なんこうだい)と呼ばれる住宅団地は、かつて山林や牧場だったものを地元の不動産会社が開発したのだそうだ。戦後の農地改革で土地を失った地主が金のために手放した山林が多かったという。

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大地の再生@仙台秀明/土地の記憶と命をつないでいく


翌朝、早朝の現場にて。敷地の真ん中に残されたシンボルツリーのサクラ。周囲を毎日のように重機に踏みしだかれ、気息奄々に見える。「これ、大丈夫なのですか?」という私の問いに「なんとかなるでしょう・・・」と矢野さん。

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大地の再生@仙台秀明/芝張り、アズマネザサ、三つグワ


仙台市郊外、コンクリートとアスファルトで造成された道路や宅地の中に、島のように残された高台の里山地。震災復興の拠点として、近代土木工事によって息の根を止められようかとしている仙台だが、その丘からは遠く奥羽山脈の山並みが見え、高台だというのに井戸水が湧き出ている。

そこに神慈秀明会という宗教法人が神殿住居を建設することになり、矢野さんらが敷地の整備を任されることになった。大地の再生視点からすれば、既存の里山自然をできるだけそのまま活かし、さらに気脈・水脈を通す整備をするはずだが、現在の法規では建物周りを造成し、張り芝などをしなければならない。つまり、里山に残されていた木々は根こそぎ引き抜かれるか、伐採されてしまうということなのだ。

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大地の再生@仙台2/杜の街と再生・創造の関係


桂旅館という大きなアパート風の宿、中には職人さんたちがびっしりで、朝から大きな食堂で自分でご飯をよそって食べる。オカズが満載の上に、自家製のお米が食べ放題だそうで、朝から満腹になる。北関東〜東北にはこのような職人さんご用達の宿が多い。私も若い頃、肉体労働のアルバイトで渡り歩いていたとき世話になったものだ。

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大地の再生@仙台1/移植と造成


仙台は大きな現場だった。午後からの工程会議に参加し、その後夕刻まで敷地を見た。小高い丘の住宅地の中にある雑木林を造成して、施設と周囲の外構・庭を整備する仕事だった。本来の矢野さんの手法では元の植生を最大限に活かしてやるところが、法律的な問題で造成工事を行わねばならない。そこで樹木は根切りして、移植できるように仮置きしてある。

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