南三陸さんさん商店街のスギ


車中泊した「道の駅 おおさと」から夜明け前に車を出発させた。下道と三陸自動車道を使ってまず石巻まで行ってみる。下道は、脇道に入れば補修跡が多くてガタガタとする。三陸自動車道は鳴瀬奥松島~志津川と先の部分開通区間が無料となっており、明け方から大型トラックが行き交う。

石巻の商店街に石ノ森章太郎のイラストや人形キャラがたくさん飾られている。海に出ると「石ノ森萬画館」が見えた。石ノ森の原案をもとに「宇宙船」をイメージして作られたこの建物は、震災で大被害を受けたが、2012年の11月に営業を再開している。

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使いたい素材から始まる


隈研吾『自然な建築』読了。普通、建築設計は部屋をどう並べるかという平面計画があり、次に外形が決まり、最後に仕上げ素材の材料選びが行なわれる。が、隈建築は逆のプロセスをとる。いきなり最初から、使いたい素材を選んでディテールまで考える。

こんなディテールで作られるからこそ、この配置、この平面、この断面にすべきだという順序で、デザインを進めていく。それが物質としての建築を決定する際の、誠実な手順、物質に対して誠実なプロセスだと信じている。(隈研吾『自然な建築』)

うん、これはよくわかる。しかし、現代住宅の設計でこんなメンドウで悠長なことは、よほど施主のこだわりがないかぎり行なわれない。先に部屋割りや形を決められ、次に各カタログの山から素材を決めさせられていく(こうして凡庸な、魅力のない新建材住宅が量産される)。

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梼原町、旅の補遺


梼原町は山林に囲まれた林業の町である。13年前の講演でお世話になった方々にお会いして、ここまでの変遷をどう受け止められているか? どんな未来のビジョンを描かれているか? 生の声を聴いてみたかったが、急に思いついた旅でそれは適わなかった。

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背負い子を作る/その3・フレーム完成


朝から背負い子のフレーム作りにとりかかる。縦木に10mm幅のほぞ穴を彫るのだが、久しぶりに取り出したノミのカツラがいい状態ではなかった。鉄輪がへしゃげて柄の部分にかぶさっている。このままだと叩いているうちに鉄輪が外れてくるので、外して調整しなければならない。

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背負い子を作る/その2・墨付けと刻み


このところ高松も朝は氷点下で霜が降りている。午前中、ブログ2本アップ。作業机のイラストを描く。私の木工のイラストはパース・展開図を合体させ、さらに必要な細部を入れ、その一枚で構造と作り方が直感的に理解できるように描いている。これは牧野さんの『新日本植物図鑑』の描き方・情報量に近い。

イラレやキャドは確かに便利だが、冷たくて愛がないというか、材料の取り出しや数量計算にはいいかもしれないが、かえってごちゃごちゃして形や表情が伝わってこない。

さて、午後から「背負い子」作りの続き。八ヶ岳の山小屋バイト時代、背負い子は毎日のように使ったものだ。また群馬の山暮らし時代もそうだった。背負い子はたいていスギかヒノキで手作りされていて、2本の縦棒は梯子のように平行ではなくて、内側に微妙に傾いている。そのほうが背負って安定するし、使いやすいのだ。

その背負い子のほぞのころび(傾き)をどのようにスミ付けしたらいいか悩んでいた。角度が30度とか60度のような解りやすいものなら分度器を使えばいいが、図面を描いてみると高さ800mmの中に3本の貫(ぬき)を入れとして一番上は芯芯で250mm幅、一番下は300mm、本の高さは600mmだから、三角関数で計算すると1.79度だ。これでは理論上算出できても定規からスミ付けするのは困難だ。

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