梼原町、旅の補遺


梼原町は山林に囲まれた林業の町である。13年前の講演でお世話になった方々にお会いして、ここまでの変遷をどう受け止められているか? どんな未来のビジョンを描かれているか? 生の声を聴いてみたかったが、急に思いついた旅でそれは適わなかった。

「雲の上ホテル・別館」(2010)は、隈研吾が日本国内で木を全面的に使った建築第一号といわれているが、町から依頼されたとき、当時の町長から、

「梼原は林業の町ですので、杉で作ってください」

とだけ言われたそうである(「とだけ」というのが恐いねw)。木の建築は現場も含めて高度な経験が必要で、実はコンクリート建築の図面よりはるかに難しいのだ。隈研吾は「自分に木の建築ができるだろうか・・・」と心配したと、著書の中で当時を述懐している。

町営温泉は沸かしだが源泉掛け流しだそうで、なかなか良かった。その日は夕刻5時からというのでスケッチしたりして時間を待ち、入りに行った。ホテルで無料のチケットを貰えるのだ。

ホテルに戻ると町のメインストリートは電飾されていて驚いた。町で生産された電気を誇るかのように・・・。スーパーを見つけて酒を買い、この晩は部屋飲み。でもホテルの案内によれば、居酒屋もけっこうあるみたい。

で、入手したのはやっぱりこれ、「栗焼酎 ダバダ火振」。yuiさんと高知を旅すると「ひろめ市場」に行き、ここで〆に必ず飲んだ酒だ。四万十川流域の山では人の集まる場所を「駄場(ダバ)」と呼ぶ。「火振」は、夏の夜にたいまつの火で鮎を網に追い込む「火振り漁」から来ている。

「雲の上のホテル(旧館)」(1994)は別館から2kmほど山の中に入った位置にある。土佐牛の会席コースがあり、人気を集めているようだ。【高知家の食卓】でも話題”幻の和牛:土佐あかうし”200gのステーキが味わえる豪華コースもある。

 

温泉もプールもあるし、家族でゆったりくつろぐなら、こちらがいいかもしれない。屋根は飛行機の翼をモチーフにしたそうだ。

そのすぐ上に「雲の上の市場」がある。

炭が売っていたので火鉢用に買った。

小さな火鉢なので「火付け用」と書かれた小割りサイズでいい。カシ・クヌギの黒炭は燠炭に比べて着火に時間がかかる。火鉢では燠炭と混在させながら使うと便利だ。

別館の朝食はこんな感じ。こちらはビジネス・ユースだね。

スギで作られたテーブルとイスもお洒落だ。各席に膝掛けが用意されている。補助暖房は石油ストーブだった。せっかくなら薪火と行きたいけれど、消防法の問題もあって難しいんだろうな。

ここに「囲炉裏暖炉」があって、地元のお婆さんたちが枯れ枝を燃やして火を管理しながら、旅の人と交流できたら最高だろうな・・・などと夢想してしまった。今年はフライフィッシングを再開したいと考えているが、ここ定宿にできたらイイネ♬


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