那智の滝周辺の崩壊地を巡る


下の写真は2003/11/8「那智の滝」を訪れたとき、私が撮影したものである。

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初めての熊野への旅であった。

まだ群馬の山暮らしを始める前で、鋸谷さんとの共著、私の2冊目の著書になる『図解 これならできる山づくり~人工林再生の新しいやり方』(農文協)の最終原稿を書き上げた直後だった。

最期の文章(鋸谷さんとの連文の「まえがき」)を書き上げて出版社に送り、その文書やイラストのコピーも車に積んでいったのである。単行本の最終取材という意味を込め、この旅の間に本のタイトルを考えねばならない、そんな思いを込めて敢行した旅であった。

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田辺市での講演You Tube動画アップ


いちいがしの会のスタッフが今回の講演の動画をYouTubeにアップしてくれました。

凄まじい荒廃林の大崩壊を見た後だったので人工林ネタが長すぎて1.5時間を10分オーバー。

囲炉裏の話はあんまりできなくでゴメンなさい。

この講演動画で多くの人が日本の森の真実の姿に気づき、目覚めてくれることを期待したい。


読めば解る”植えない森”の意味


おかげさまで2009年に出版された拙著『山で暮らす愉しみと基本の技術』が先月6刷目の重版でついに2万部を突破した。この本はいま自然暮らしを目指す・実践する人たちにバイブルのように読まれているようだ。それから『図解 これならできる山づくり』『図解 山を育てる道づくり』も重版が決まった。『山づくりは』10刷目、『道づくり』は3刷目だ。しかし、いちばん売れて欲しいのは新著の『「植えない」森づくり』なのだが、この本はいかんせん敷居が高いようだ。

まず現状の林業についての知識がないと、本書の意味内容、価値を量ることが難しいこともある。また意味が解っていても、これまでの森林研究者や林業プロパーが、自らの位置を否定する本書を採り上げることはないと思う。しかし、何らかのかたちで山に関わりながら、日本の森林について何か釈然としない疑問を持ち続けてきた人たちには「目からウロコ」間違いなしの本である。ある人は「自分は自然を保護する活動をしてる!と思っている方みんなに読んで欲しい」と感想をくれた。

あらためて内容の一部を紹介しよう。

▼表紙カバー。

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台風12号、熊野の異常な森林たち


先日の台風12号、紀伊半島では決壊の恐れのある土砂ダムが計17カ所も。奈良県野迫川村北股で見つかった土砂ダム(○印)=6日(写真/国土交通省近畿地方整備局提供)。しかしまあ、よくもこれだけスギ・ヒノキを植えたもんだ。

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深層崩壊も放置人工林が下手人


予想していた通り、台風の雲は紀伊半島に流れ込み激甚な被害を与えてしまった。被災者のご冥福をお祈りすると共に、早やかな救助と復旧作業を急いでほしい。twitterにも書いたが、紀伊半島は急峻で深い谷が連続する。ほんらい伐ってはいけない原生的な照葉樹を伐採し、スギ・ヒノキを植えてしまった場所が、ものすごくたくさんある。強度間伐で混交林化していかないと大変なことになると、私は10年前から言い続けてきた。

今回、被害の多かった奈良県と和歌山県の人工林率(全森林面積に対してスギ・ヒノキ人工林の占める割合)はどちらも61%。そして三重は62%(全国平均は41%である。これでも多すぎるのだが・・・)。これはどういうことかというと、植えられるところはほぼ人工林化してしまった、というくらい紀伊半島は人工林だらけなのだ。

長年紀伊半島の山をフィールドワークしていた後藤伸さん(2003年逝去、同年第13回南方熊楠特別賞受賞)に言わせれば、

「なにしろ、紀伊半島というのは大変な多雨地帯です。山そのものが雨に対応できるだけの、ほんとは山そのものの生態にそれだけの能力があったわけです。ただ、植林によってそれを完全に潰してしまって、やがてこれが、今言ったように何十年か先は山の崩壊という事態を招くことになるだろうと思っています。そのときまで我々はどうするのか。大変な問題ですよね」(2000~2003年の講義より)

と、この事態を早くから予測していたのである。

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