屋敷林、水源、暮らしの技術(その6/阿蘇観光)


今日は1日フリーなので囲炉裏で朝食を頂いてから阿蘇観光に出かける。

長男のJ君(小3)もそうだが、長女のSちゃん(5歳)も囲炉裏の火が大好きのようだ。5歳にもなるとやや安心だが、3歳くらいまでは火の熱さや怖さを知らないので囲炉裏に落ちないよう周囲が十分注意する必要がある(ジローさん宅には1歳の次女Nちゃんがいる)。

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それから、座布団は爆ぜた炭が綿に入り込むと消したつもりで後からくすぶり始めることがあるので要注意だ。むかし囲炉裏では板張りに縄編みの円座を使ったのはそんな類焼防止策でもあった。

爆ぜを防ぐには薪を小口から燃やすのがよく、そのような燃し方をするには囲炉裏は広いほうがよい。ブロックなどを置くと狭くなって薪をまん中から燃やすことになり、そうすると爆ぜやすくなる。

もうひとつの注意は、長く囲炉裏を燃やし続けることでまれに炉縁が「低温炭化」で燃えてしまうことがあるが、木部の露出を少なくし、粘土を塗っておけば問題はない。ジローさん宅の囲炉裏は古瓦を置いて熱を防御していた。これも良いアイデアだ。

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熾き炭は餅を焼いたりパンをトーストするのにとても便利なものである。囲炉裏はこの朝の使い方だけでも、一般家庭における石油(電気)ストーブ、ガスコンロ、オーブントースターという3つの役目を一つの炉で果たしているわけで、しかも燃料は庭先や屋敷林の伐採枝で間にあうのだから便利だ。

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山間部では薪は豊富にあるが、平野部ではそうではない。屋敷林は防風だけでなく薪採りの燃料庫でもあったのだ。酷く貧乏に陥ったときでも「田畑は売っても屋敷林だけは絶対に売るな」などと言われたそうである。

さて観光へ出発。といっても、僕らは名所旧跡よりも普通の暮らしの風景に興味がある。なにせ背後の根子岳がすばらしい。小学校へ通うJ君は毎日この光景を眺めているのか。四季の移ろいをこの山で感じることは最高の感性を育むだろうな・・・と思ったら、家のすぐ近くからスクールバスに乗るんだそうだ。分校が統廃合されて通学距離が長くなってしまったのだ。

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石垣や・・・

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古い民家の煙り抜きを観察。

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白川水源に行ってみた。阿蘇の湧水が湧き出ている。

内牧温泉近くの農村バイキングレストラン「はな阿蘇美」で昼食。前回の講演の帰りに立ち寄ったのだがとても美味しかった。地産地消はもとより「湯布院の料理研究会会長“新江憲一”プロデュース/250種類のメニューの中から常時50種類の料理とスイーツをご提供/時間制限なし」というコンセプト。

大人料金1.260円というのも安い。ジローさんちでクーポン付きの冊子をゲットしていたので1,000円に割引。なので阿蘇牛のステーキ2,000円を1枚追加♬

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カレーも秀逸。様々な季節の野菜料理が食べられる。

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薄めのサーロイン。生野菜もどっさりつく一皿。阿蘇ネギが実によく合う。

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満腹の後、駐車場で爆睡w。

夜はまたジロー家で囲炉裏宴会。入れ替わりお客さんがやってくる。阿蘇は関東からの原発避難者がたくさんやって来ていて、エコロジカルなNPOがその受け入れ先というか相談センターになっているみたいだ。ここからまた新しいコミュニティができる予感があるが、皆が田舎暮らしの技術を持っているわけではなくて、旧住民とのトラブルもあるという。

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二日目、慣れてきて、薪の置き方や炭火焼きもなかなかの腕前に。

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すごく美味しい玄米をごちそうになった。不耕起の岩沢先生の指導を受けた田んぼのものだそう。

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南阿蘇の冬は寒い。囲炉裏が活躍しそうである。これは納豆用の大豆。この地で品種改良され、とても美味しい自家製納豆ができるという。すばらしい!

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ジローさんは僕の本を読んでさっそく行火を手に入れたそうだ。かまぼこ型のタイプ。これもコタツで使う時は乳幼児が潜り込んで火傷や一酸化炭素中毒をおこさないように注意が必要だ。

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薪風呂に小さなランプが灯っている。その暗さがとても良かった。本当に昔の暮らしの技術を知っている年寄りは80歳以上の人。団塊の世代は昔には戻らず、今を逃げきろうとしているようにも見える。技術の伝承は途絶えている。マニュアルにも限界がある。

いずれ1週間くらいのプログラムで、囲炉裏をはじめとする様々な技術の講座でも開こうか? という話しになる。まあ、最初はなんでも大変だ。でも10年後にはすっかり人種が入れ替わってしまうかもしれないな。


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