本日5寺目。
43番明石寺(めいせきじ)は今日の他の4寺とは打って変わって深山の雰囲気の中にある。とはいえ近所の峰の最高峰は御篠山388mだから標高は高くはない。
歩き遍路の笠ひとつ。
山門。
本堂へ続く階段。
四国では珍しくすべての建物に石州瓦(せきしゅうがわら)を載せている。その重量を受けるべく、骨太の量感ある建築の印象。
装飾瓦も凝っている。石州瓦は島根県の石見地方で作られる赤茶色の光沢のある瓦である。焼成温度が高いので凍害に強く山陰地方など雪国で多く使われている。実は愛媛県でも内陸部ではたびたび雪が降る。
こんな場所では、ご神木は乾燥に強いクスノキではなく、水の好きなケヤキとなる。
駐車場に大きな売店があってお茶を誘われたので、アイスクリームを購入。お店の関係者とも客ともつかない、奥席に陣取った初老の男性と歓談。私たちを高松からの旅人と知ると、
「讃岐のお寺は皆立派なので驚いた」という。
「松平の殿様の保護も大きかったんでしょうなぁ・・・」とも。
なるほど、そういわれてみれば・・・。私は納経帳を持った遍路をはじめるまで讃岐の寺をかなり回っているが、それに気づかなかった。他県の寺を回り始めて、あらためてそう思う。
さて、明石寺の位置は地形的に非常に面白い場所にある。
ここは一級河川肱川の最上流部ということになるのだが、やがて大洲を通って瀬戸内海に流れるこの川は、明石寺のある上宇和町で大きく折れ曲がり、太平洋側に急接近するのである。最も近い分水嶺は、直線距離で海まで約2kmしかない。実は知人がこの海側に住んでいて訪ねたことがあるのだが、この峠越えで非常に奇異な感じを受けたものである。
実は、かの四万十川もこのような地形があって、ちょうど窪川あたりで分水嶺はなんと太平洋まで1kmにまで接近する。ちなみに窪川にも霊場がある。37番岩本寺である。
また、四国三郎と称される大河川、吉野川にもこのような地形があって、ちょうど伊予寒川駅付近で分水嶺は瀬戸内海側に4kmにまで接近する。ちなみにこの付近にも霊場がある。65番三角寺である。
四国に多いこのような地形は、ある種の龍脈や霊的なエネルギ―が発生しやすく、霊場が置かれる理由の一つなのではなかろうか。
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車中泊も疲れたので今日は道後温泉に入って定宿へ。ちなみに道後温泉の駐車場(道を挟んだ高台にある)は30分100円だが、 駐車券を道後温泉帳場のカードリーダーへ通せば1時間無料になる。路面電車に乗りたい人はホテルに荷を降ろしてから電車で行けば風呂上がりのビールが楽しめるが、時間を短縮したい人は無料駐車券で風呂へ直行、というのもオススメ。
いつもの「蔵元屋」で立ち飲み。ごひいき西条の酒蔵の季節限定が入っていた。
つまみに豆腐のような食感をもったフレッシュチーズ「内子町のリコッタチーズ」。ここはたんなる角打ちとはちがう地元産のメニューが出てくるのも驚き。
四国の酒文化、なかなかのものです。