31番、竹林寺


面白いことに四国の県庁所在地それぞれにランドマーク的な山がある。徳島市には眉山276mが、高松市には紫雲山199m、松山には勝山(城山)131m、そして高知は五台山146mだ。

♪土佐の高知のはりまや橋でぇ~坊さんかんざし買うを見たぁ~♪・・・という節で知られる「よさこい節」の坊さんはここ五台山にある竹林寺の人だ。

竹林寺近くには日本植物学の泰斗、牧野富太郎博士の記念館と県立牧野植物園があり駐車場(無料)は共通。牧野さんの植物園には2度行っているが(こちら)竹林寺は初めて。今回の目玉は本堂の仏像である。本尊の文殊菩薩は50年に1度開扉する秘仏で、四国霊場1200年記念の今年がちょうどその年に当たる。


このたびのイベントは広報にも力を入れているようで、ちょっとエキセントリックなデザインのポスター(こちら)がひろめ市場の壁にも飾ってあった。

駐車場周辺の植栽も植物園つながりなのか、自然木が多くネームプレートが付けられている。クマシデが大きな花穂を付けていた。カバノキ科のシデ類(クマシデ属Carpinus)はこの花穂の形が神道で使われる紙垂(しで)に似ていることから名づけられた。

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山門。斗栱(ときょう) の重なりが美しい。

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五重塔。高知県の寺では唯一のもの。ちなみに四国霊場88箇所のうち五重塔は4箇所しかない。そのうち3箇所は香川県にある。

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本堂。大きいね。こけら葺きの屋根はふき替えられたばかり(平成24年3月竣工)。

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大師堂。バスツアーのお遍路さんでかなりの人。連休終わって高知市内のビジネスホテルはがらがらだったが・・・。

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大師像がみえる。五色の御手綱が伸びている。

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本堂の横に作られた臨時の窓口で料金1400円(本堂のと客殿の共通券)を払って、内陣へ。入る手前でテントとベンチがありお坊さんが仏像の解説をしてくれるが、あまりに長いので先へ。本堂に入る前に塗香(ずこう)を手のひらに乗せてくれる。参拝前にそれをすりあわせて手を清めるわけである。

秘仏はそれほど大きなものではなかったが金色の厨子に入りなかなかの偉容だった。中央に獅子の乗った文殊菩薩の座像。脇侍に円環の光背をつけた4体の尊者像が据えられる。ちなみに本尊が文殊菩薩なのは四国霊場88箇所のなかで唯一ここだけ。高知県の名の由来は市内がデルタ地帯だったことから「河内」、それを文殊菩薩の知恵にあやかって「高智」へ改変。そして現在の「高知」になったそうな。

その後、山門のほうに戻って客殿に入る。大日如来の像や仏画(堂本印象画「渡海文殊」45年ぶりの公開)もあったが、ここはなんといっても庭園がすばらしい。傾斜のある地形を絶妙に利用している。香川に比べてずっと湿潤な高知では苔も維持しやすいのだろう。

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最後に宝物館。自動ドアで中に入ると蔵のような空間に仏像が3面にずらりと並ぶ。アナウンスでは中央の座像が伝運慶と言っていたような・・・。展示物を確認しようと帰りに受付に行ったらリストは作っていないという。脇侍の観音像もなかなか良かったな。

再び山門をくぐる。この仁王様はすごくユニークなお顔だが、年代もそうとう古い。寄せ木作りの接合部がボロボロになってきている。あるいは湿潤な高知ではこのように野外さらされる木造彫刻は長く保たないのかもしれない。

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本堂の秘仏拝観の出口で金線描でご本尊の描かれたお守りをいただいた。隣は38番金剛福寺の秘仏拝観のときにいただいた金の亀だ。いろいろ溜まっていくので楽しいw。

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