島根温泉津4日目/江の川・大森地区・watowa会食


今日は朝からフリー。「天然名水ささゆり」というポイントを見つけたのでをそこに水を汲みに行く。途中、江ノ川の支流、三谷川に沿った道を走っていたのだが、その渓相が良いので車を止めて川を眺めにいった。里を流れる穏やかな流れなのに自然度の高さが感じられた。

と、目の前をサファイアブルーの閃光が走った。カワセミだ!!! 車に戻り、iPhoneで国土地理院の地図を取り出して位置を確かめた。この川でフライフィッシングの再開をしてみたい・・・と思ったが、驚いたことにここの位置標高は100mに満たない(70m程度!)のだ。江ノ川流域ではヤマメを放流しているらしいが、この標高では生息できないのじゃないか?

中国山地は全体に標高が低く、なだらかな準平原地形でこの一帯は「石見高原」と呼ばれている。江の川はこの地の最大の河川だが、標高差が少ないため、昔から洪水を繰り返していた川なのだ。

カヌーイストの野田知佑さんの処女作『日本の川を旅する』の中で、最も印象的な川旅が「江の川」だった。

初日の河原でキャンプしたときのくだり・・・

雨が降り出した。
旅先の見知らぬ土地で、雨に降られ、テントの中で夜を迎えるのは厭なものだ。
酒を買うのを忘れたので、酔っぱらってごまかすわけにもいかない。ヘッドランプをつけて、横になって本を読んでいると、遠くでお寺の鐘がゴーンと鳴り、ボソボソとテントに当たる雨の音をきいていると気が滅入った。猛烈にハラが減って、食い物はなし、こんな時に別れた女のことなど思い出したので、ますます気が滅入った。その上、転々とし過ぎて、首を寝違え、惨めな一夜を過ごす。

(笑)。この川を野田さんは旅していたんだな。

石見銀山の大森地区へ。2010年、佐賀・熊本講演の旅の途上で立ち寄ったことがある。13年ぶりの再訪である。

前回もおじゃました「群言堂」に入ってみよう。

2階のここが好きだ。

あいかわらず庭が良い。「大地の再生」的にも非常に良い水はけと風通し。

お目当の中華は休みだったので蕎麦を食べた。

三瓶温泉へ行く。共同浴場の「鶴の湯」。料金300円。

茶色の湯、すごい湯量だった。三瓶山のふもとを通って大田へ。「おおた」じゃなくて「おおだ」と読むんだね♬

大田の町の雰囲気を見たいと思った。温泉津は江津と大田のちょうど真ん中にある。風景に石州瓦(石見瓦)の赤い屋根が続く。野田さんの川旅の記述にもこの瓦の話が出てくる。

江の川は洪水ばかりで人の役にたたん、というので「用なし川」と悪口を言う人もいる。しかし、この川が氾濫することで、下流域に上質な粘土が堆積する。
各地の川が治水工事で氾濫しなくなるにつれ、その地方の陶器用の土が不足している。江の川の生み出す陶土は、西日本一帯の窯元から引っぱりだこだ。河口の江津市は「土を売って食っている」と言われる。(『日本の川を旅する』/江の川)

おなじく島根の出雲地方で採れる来待石から作られる「来待釉薬」、これを耐火度の高い土に組み合わせることで、高品質な凍害・塩害に強い石州瓦が生まれる。

大田のカフェで一息入れて、温泉津に戻る。夕食は時津風の先隣にあるWATOWAで。ここは全国各地から料理人を招いて運営するシェアリングキッチンになっていて、前回は和イタリアンみたいな料理だったけど、今回は京都から和の料理人が来ていてコース料理があるらしい。

モーニングを食べていたらその情報をもたらしたYちゃんが「私まだ食べてないんですよ〜」というので一緒に食べに行くことにした。

ゴーヤや賀茂茄子などの前菜。

シェフが今日の魚を見せに来てくれる。コショウダイとのこと。

日本酒を合わせる。銘柄は失念・・・。

魚のフライ。ワインも少しいただくことに。

イカのワタを使った焼き物。まだタイの頭の煮付けを用意しているというのだが、さすがにこのへんでお腹いっぱいに💦

でもご飯と汁物は味わっておきたい。少しだけ。

Yちゃん、東京の出身。建築科出ているのに就職せず島根に来て「里山インストール」の仕事をしいている。話題豊富、いい飲み手です♬

お開き後、シェフと歓談しているうちに、またしてもカラオケに誘われる。元湯の方にちょっと歩いたところにカラオケスナックがあるのだった。しかし、2007年に初めて温泉津に来たときは旅館街が古色蒼然として廃墟感すらあったのに、センスの良い変貌ぶりが嬉しい。

2007年10月の温泉津は、四万十式作業道の取材の旅の途上だった。群馬から四国〜九州〜熊野を回った取材の走行距離は4,500キロ、19日間の旅だった。あのとき閑谷学校の楷の木の前で撮ったyuiさんのポートレートがいまアトリエに飾られている。

その後、先に書いた2010年の講演旅行の途上で。そして2018年4月「大地の再生」の初取材、屋久島の帰りにも温泉津に立ち寄った。それほど温泉津の温泉は魅力的なのである。が、あの時も周囲に飲食店はまったく無かったように思う。この激変はここわずか2-3年のことなのである。

でも、今も温泉津にはなんともいえない懐かしさが漂っている。


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