沖島の人工林、HACHIYADOの囲炉裏暖炉〜再び沖島


翌朝は琵琶湖に浮かぶ沖島へ。日本で唯一、住民がいる淡水の島である。住民はすべて漁師関係者だ。漁船のチャーター便に乗り込む。

カワウの被害で一部が枯れてしまった国有林地の岬。しかしここには周回道路がないので、まったくヤブ化していない。ひとつひとつの木々がくっきりと健全や樹形を保ち、森の中に風が通っている。

今日は沖島漁港ではなく、弁天様の桟橋に直接船を回してもらった。

弁財天社裏の鷲岩に神が降臨して祭祀場として祀りが行われ、後に現在地に移されて、跡地に弁財天が祀られた。「湯ノ花」を奉げて祈った場所が「湯ヶ谷」(別名・ヤンタン)として伝わる。

湖岸にある杉林。ここで鋸谷式間伐の密度調査と巻き枯らしをやってはどうか? という現地視察だったが、いかんせん林の厚みがなく、間伐の効果が見えなさそう・・・。

ヤンタンのタンは「谷」の意である。いまも石垣の隙間からこんこんときれいな水が湧出している。昔、ここは棚田が営まれていたが、放置されて久しく、ヤブに覆われている。

ヤブの奥に見える石積み。

ヤブをこぎながら、棚田を何枚も登って行くとスギ林に出た。久しぶりに密度管理竿を回して密度を測ってみる。けっこう明るい林で広葉樹も混成しているが、まだまだ間伐が必要な密度である。だがここの山主とはコンタクトできていないそうだ。

根倒れの木がある。植林スギは直根がほとんどないので、樹高が高くなり、間伐が遅れると根倒れしやすい。斜面に穴が空き、土砂崩壊を誘発しやすので注意が必要だ。

間伐よりも気になったのはこの湧水の出口であるはずのワンドのヤブとゴミである。

湖の石の上に巻貝が。

昼は手作りの「鱒の寿司」。鱒? そうピンクの肉片は琵琶湖特産のビワマスである。生臭みはまったくない。美味い・・・。

食後、少しの時間だが3人で掃除することにした。この「出」の場所が非常に重要だと思うからである。

いったん定期船で堀切港へ戻る。

琵琶湖大橋を渡って大津方面へ。

途中、冠雪した比良山地が見える。湖面と組み合わせた景色が実に素晴らしかった。

湖西に行ったのはこれまでシリーズのワークショップで作り続けてきた「囲炉裏暖炉」の経過を見に。フードの金属材料の値上がりで中座していたのだけれど、京都の板金屋さんが薄手の鉄板で見事に作ってくれもう一息。あとは煙突と壁・天井の仕上げ・・・というところまできた。

途方にくれた昭和古民家の改装だったが、職人さんたちの圧倒的なワザとセンスに導かれた。後部の美しい納まりを見てほしい。これぞ家づくりものづくりの醍醐味である。

湖西からふたたび橋を渡り、夜の堀切漁港から沖島へ。

島にあるゲストハウスに泊まって打ち合わせを兼ねながら飲み。若いIターンの漁師、同じくIターンの地域おこし協力隊の女性とともに。

漁師の彼が昔のエビ捕りのタツベ籠を見せてくれた。漁師さんが竹を細工して手作りしていたそうだ。放射状の誘い込みの部分は竹ひご1つにテーパーがかけてある。美しい。現在はプラスチックに変えられたが、その残骸がワンドにいくつか落ちていた。

散策中に見つけたフキノトウがさっそく味噌和えに、そしてフナの酢味噌和え。いまここで、琵琶湖の真ん中の島で飲んでいる・・・という不思議な感覚。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください