京田辺Akasya〜HACIYADO339へ


夕刻、なんとか明るいうちに京田辺「Akasya」ヘ着く。空カギと火棚を見て施主のMさんがたいへん喜んでくれホッとする。が、立体作品はそれだけで成り立つのものではない。実際にぶら下げてナンボ。さっそく囲炉裏のある部屋に行き、前回の自在カギを外し、新作の空カギを下ろしてみる。

炉縁が地味で小柄な囲炉裏なのでちょっと心配ではあったが、バランスはまずまず。吹き抜けが高いので釣り合っている。次に火棚。予想ではちょっと大きかったかな・・・・と思ったが実際に下げてみるとこれまたちょうど良い。ただし、吊り下げ方が難しい。

吹き抜けの梁の位置が高いので直にはぶら下げられない。さいしょ中央の竹に紐を2本渡して4点で吊ってしまう方法を考えたが、これだと火棚から物を下げたとき揺れてしまう。素材が軽い枝なのでなおさらである。

結局そのやりかたで仮止めし、2面の壁にヒートンを打って斜め下方に吊り下げることにした。吊り紐はナイロンテグスやステンレス線も考えたが、白の細い金剛打ち綿ロープに。その火棚の中央を太めの白ロープが抜き、空カギが下がる・・・という構成である。火棚や自在カギはモノの形も大事だが、吊り部分のディテールも非常に重要なのだ。

おまけで付けた灰均しもなかなか良い。実用性もある。

前回の滋賀永源寺I邸の囲炉裏と、今回のAkasyaと二つの炭を使う囲炉裏をやって気付かされたのは、炭の囲炉裏は灰部分の余白が目立つのでそこを視覚的に美しく保つ必要があるということである(炎の場合はそこに目が集中するので灰部分は気にならない)。

そのためにも灰均し(灰かき)は必須の道具だし、それで美しい灰模様が常に描かれていると申し分ない。

今回もFsさんが持って来た広葉樹の枝が役に立った。皮付き枝は削りの木肌とバランスをとると、それだけで迫力と可愛らしさが同居した造形ができる。

取り付けを終えて滋賀に向かい、温泉に入って車中泊を決め込んで、自作の弁当を食べていると、明後日のイベント先のHACHIYADOのイタル君から図入りのメッセージが入る。囲炉裏暖炉の石組みと上部の基礎組との絡みがイマイチ理解できていないようだった。

結局HACHIYADOまで行くことにし、すでに既存の合板フローリングを剥がして土間が見えている設置場所を見て、図を起こしながら下部の収まりを検討する。僕のアトリエの囲炉裏暖炉は2階ということもあり直接床置きなのだが、イタル君のところは1階で石組みからやりたいという希望があった。

基壇の石組みと六角形の炉縁を、大引と根太を介してどう擦り付けるか・・・僕にとってもこれは初めての経験である。


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