近江の餅、一ノ瀬神社の社叢と湧水


暮れの餅つきはなしだったし、酒をのむ機会もないので正月祝いのおせちも買わず作らず、餅は自然食品店でよもぎや玄米餅を買っておいたのでそれを食べればいいや・・・と思っていたら、滋賀のやっちゃんから宅急便でつきたてのお餅が届いた。たむたむの皆さん、宅急便さん、ありがとうございますm(_ _ )m。

といっても29 日についたお餅らしいのですでにタッパーの中で硬くなっており、取り出してすぐにカット。僕は関東の人間なので角餅のほうが好きなのでちょうどいい。さっそく焼いて海苔を巻いて醤油で食べ、いっしょについてきたきなことあんこでも食べる。めちゃうま〜〜〜〜!!!!琵琶湖・近江平野のコメ・・さすがだ。

午後から初詣に行く。といっても人がごった返しているところに行く気はない。以前から気になっていた近所の一ノ瀬神社に行ってみた。ここ、ムクロジの巨樹があり、社叢全体が県の天然記念物になっているのだ。

車で細い道をさがして近づいてみると、まず道の反対側の石積みに目を奪われた。実はこの五色台の一帯(ごくわすかなエリアなのだが)は節理のある石が出る。その石をうまく組み合わせていて、中にかなり大きめの石がどが織り交ぜられているかなり魅力的な石積みだったのだ。

さて、小沢の橋を渡ると石の鳥居があり、駐車場的な広場があって、その奥にお社と樹林がある。お社の両翼にすでにかなりの大木を抱えているのが圧巻だ。クスノキとバクチノキのようだった。ムクロジはどこにあるのだろう? タネ(実)が特徴的なので落下しているそれで判別できるはずだが、見当たらない。

ちょうど車に戻ってきた人がいたので訊いてみるが帰省者とのことで詳しくないという。後からやってきた父親らしい人に尋ねてもよく解っていないようだった。社叢に誘われるままに右手の小道に周ってみると、斜面の奥にすごい根張りを持った巨樹が見え「おおっ!」と思わず声が漏れ出た。

ムクロジは羽状複葉の落葉樹である。木に近づいてそれらしき落ち葉の堆積物を掻き出してみると、あった! ムクロジの実が地中にばらまかれている。まだ果肉がある今年落ちたものも拾えた。この巨樹がまさしく県下最大のムクロジだった。

ムクロジの種は羽根つきの羽の玉に使われていたことで知られ、また化学的な効果としてサポニンを含んでいて石鹸がわりに洗濯にも使われていたという。タネを持ち帰って、この春に鉢植えして育ててみよう。

それにしても、この社叢はこの地域の原生的な植生の最後の名残りにちがいなかった。花崗岩に覆われた讃岐平野のおむすび山では、人為的な伐採開発からほとんどアカマツの山になっており、戦後それらが松枯れで壊滅し、現在は2次林(雑木林)になっている。

本来はこの一ノ瀬神社の社叢のような植生だったのであろう。特異なシダ類の群落もそれを物語っている。国立公園として保護されている屋島や五色台の山にもこのような場所はもはや見当たらない。

ムクロジの種を手にして斜面を降りると道のきわから水が湧き出ている場所があった。ホースが差し込まれているところをみると、日常この湧き水が利用されているようだった。

元旦に小さな奇跡を見たような気がした。


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