自分で囲炉裏や炭火のワークショップをやっている身でこんなことを言うのもなんだが(笑)、このところ炭と火鉢が以前よりもいっそう心地よいものに感じられてきた。燃料として囲炉裏暖炉でできた熾炭と、五名で購入した黒炭のコンビが実に具合良い。さらに火鉢で土鍋を使って調理することを積極的に始めることにした。
この土鍋はお酒を飲んでいたときに「小鍋立て」をするために買ったもので、やはり長谷園のものである。新築のアトリエに引っ越したとき、真っ先に購入したと同じ柄「利休十草」の小型タイプである。
味噌汁鍋もいいのだが、この利休十草も煮物料理に使うことにした。土鍋で煮ると、しかも炭火を使うと、豆などは実にやわらかくいい感じに煮える。これにかぼちゃを合わせる「小豆かぼちゃ」にするとまたうまく融合するのだ。
底が丸底に近いのも対流がよく、煮えるのにいいのだろう。ゆっくり温まり、いちど温まったら冷めにくく、ゆっくり冷めるときに味が煮ふくまる。昆布などは、ステンレス鍋でやるのとはかなりちがって、土鍋のほうが断然美味しくできる。山暮らしの時すでにこのことに気づいていたはずなのだが、すっかり忘れてしまっていた。
山暮らししでなくても、都会でもこれはできる。囲炉裏があればなおよいが、小さな火鉢ひとつあれば、そこに小さな土鍋があれば、すばらしい料理ができるのだ。(夏は七輪を使って外でやるのも良いだろう)。
ちなみに下の写真は先日「墨歌」(酒井先生)の厨房にお邪魔したとき棚の土鍋コレクションを撮影したものだ。片手鍋は「健康総合開発」のマスタークック・シリーズのもので、ゴマを炒ったりみりんを煮きるのにも便利で若杉ばあちゃんも推奨する折り紙つきである。
火鉢だけでは寒いならエアコンを併用するのもアリだ(実は僕も、囲炉裏暖炉を使わないときはそうしている)。ペアガラスの断熱住宅なら、石油ストーブよりもむしろエアコンのほうが健康的・経済的かつ簡便である。これに火鉢を併用するのはなんら問題ない(ただし、換気を忘れないように)。
自然食を標榜する人には、この炭+土鍋をぜひおすすめしたい。ちなみに蓋を割っちゃいましたが(上写真の穴付近)、いまの瞬間接着剤はよくできていて、補修も簡単なのだが、日本には漆(うるし)でこれを補修するというすばらしい伝統技術もある。
夜はその漆の使い手サトコ氏来訪。囲炉裏暖炉の端でプチ手料理を食べてもらった。今年はお互い忙しくて下屋のドアが未完に終わってしまったが、来春早々に着工の日取りを決めた。バロンが猫ドアを開けて入るのを見るのが楽しみだ=w。