畑計画再燃と水の循環について


昨日は浄化槽の汚泥(スカム)の抜き取りに業者が来たのだが、この2年に1回の定期的な抜き取りに料金が2.5万円必要になる。おそらく僕のアトリエの浄化槽は汚泥は少ないと思うのだが、その量にかかわらず抜き取りの体積は同じであり、必ずこの料金が発生するのである。

かつて僕も広報のお手伝いした「あ・うんユニット」は、EMBCという触媒を入れて曝気し、微生物を誘導するという物理的には単純な装置なのだが、その爆発的に増える微生物の驚異的な分解力によって、紙ゴミ中心の汚泥も消えてしまい、し尿+雑排水が無臭の液体になり、そのまま畑にまくことができるのだ。

あ・うんユニットを紹介した拙著『楽しい里山実践術』台湾版

しかし、これを浄化槽がわりに使うことは法律で許されない。新築の場合は合併浄化槽が義務付けであり、もし「あ・うんユニット」を使うならば、し尿だけ(つまりトイレ排水のみ)バイパスを使って処理することになる。そして浄化槽には雑排水だけが回るこという2重の下水処理になる。

すると、糞尿と紙ゴミは浄化槽には回らないので、スカムはかなり少なくなるだろう。それでも毎年数回の定期点検と2年ごとの汚泥抜き取りに金を払わねばならない。なんとも無駄である。だから「あ・うんユニット」の設置になかなか踏み切れない。

同書の「あ・うんユニット」紹介ページ

それでも今後、畑に力を入れるなら導入の価値は十分にある。高松は雨が少なくとくに夏季の日照りは毎年のように植物を枯らしてしまう。風呂やシャワーの排水にしても、大地に浸透させずに流してしまうのは実にもったいない。植物にとってむしろ養分のあるこれらを、地面に浸透させずコンクリートU字溝で河川に運び、あるいは下水管で処理場に運んでしまうのだから。

今年は苗木をたくさん植えたのでずいぶん水撒きをした。アトリエの水道水は香川用水が水源になっている。香川用水というのは、香川県が毎年水不足に苦しんでいるので、お隣の徳島県の吉野川の水を讃岐山脈をトンネルで通して香川県下に引いている一大用水なのだ。

それを浄水場で処理しその上水を地下配管で各家庭に送っている。畑にまけるはずの水を浄化槽を通して河川に流してしまい、一方で県外の水を浄水場を通して地下配管で得て畑や植木に水撒きしている。なんという矛盾、なんという無駄・・・。

EMBC開発者の高嶋博士紹介のくだり

そうして、瀬戸内海は貧栄養化している。それはダムによるトラップやため池のユル抜きが行われなくなったこと、そして下水処理の発達によるもの、直立護岸による助長・・・などが原因なのだが、われわれが生活の中で地下浸透を忘れ、無くしてしまったことも大きいのだ。

「大地の再生」が認知されることで、それらも社会問題として浮き彫りにされ、改善されていくことだろう。そして井戸を復活させねばならない。取り急ぎ、アトリエは畑の再燃計画とともに、下水の畑への還元化(合法的に経済的にどこまで可能か?)と、井戸掘りを次の課題にしたい。


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