春の草刈り考


●告知

5月8日に男木島で石垣積みのコラボイベントを予定していたのですが、コロナ過のために中止になりました。そのかわり「大地の再生/大内邸パート3」は8〜10日の3日間でやります。今回は少人数でいきたいので広く一般公募はしません。どうしても参加したいという方のみ「たむたむ畑・松下」か僕(大内)宛てにメールもしくはメッセージをください。内容は「春の草刈り」と「石積みと石窯づくり」の2つです。石窯はパルテノンの下に石積み台座と粘土ドームで仕上げます。参加費は3,000円/日、大内邸宿泊(夕食付き)2,000円です。

春の雨の翌日は草が伸びる。ここで的確に草を刈ることがすごく大事だ。昨年の暮れに第一回の「大地の再生」施業を入れて草の量は激減したわけだが、徐々に雑草たちが復活の兆しを見せている。この春の草をどうコントロールするかで、今後の方向性が決まってしまうといっても過言ではない。

オガタマノキ開花。モクレン科では唯一の常緑樹、ミカドアゲハの植樹である

まず基本は、畑の畝溝、通路、そして水脈の上部は風が通るように低く刈って開いておくこと。「風の草刈り」が高刈りだからといって、全体が同じ高さではないのだ。地際から切って風の通り道を作ることも非常に大切なことなのである。

ビオトープのクリンソウを上から見る

次にイチジクなどの果樹の根回りも低く刈っておく。一番下の枝に草が触れないように。あまり下すぎる枝は伐ってしまってもよい。風の通りと管理のしやすさを優先する。こうすると見た目にもとても安定する。

遅れて咲いた紫花のクリンソウ

イチジクのエリアの草は密に生えて膝を超えるようになると、手ガマでは手に負えなくなる。以前は長手のカマを持ち出して刈っていた。これはそうとう疲れる作業なので、やがてエンジンカッターの出番となる。

ところがつい最近発見したうまい方法がある。ノコガマをやや縦方向に構え、目の前を8の字に回すように振り回すとカマの抵抗が少なく刈れる。いったんそれで荒っぽく刈っておいて、もういちど刈り残しを高刈りするのだ。

学名はプリムラ・ジャポニカ。「本種は日本産のサクラ草のなかで一番大きく、その王者といってよい」(牧野)

これは矢野さんの言う「やたら刈り」という動きに近い。刈り終わるとランダムな隙間ができ、実にいい感じに仕上がる。エンジンカッターだとどうしても刈りすぎる傾向にある。そして残したい植物を観察しにくい。手ガマだと地際にいる小さなアマガエルの姿もはっきり確認でき、殺さずに手加減することができる。

おそらくこの水際だから順調に育っているのだと思う。そしてここは午後から日陰になり西日が当たらない。うまく夏が越せるといい

そしてクズがいよいよツルを伸ばし始めたが、これは地際から刈って退治するのではなく、ある程度伸ばしておいてから、先端から50㎝くらいの部分でループを作って巻いてしまい、地面に置いておく。すると伸び方が極端に遅くなる。これも「大地の再生」お得意の手法である。

秋にたくさんの紅い実をつけて目を楽しませてくれたピラカンサが星のようなたくさんの花をつけた

クズはクズの役割があってここに生えているのだから、退治しようとしてもイタチごっこになり、クズの再生スピードにはかなわない。だから地中の空気通しを変えてクズが自然に衰退する方向へ持っていくのだ。

自然に生えてきたシラン。大地の再生をやるといろいろな場所で自然発生がおきるようだ

大師の再生をやると様々な場所で実生苗が自然発生する。それを見逃さないためにも、初期は手ガマで刈る時間を持ちたい。これは芝を張り他のエリアは地際から徹底除草し、農薬で害虫や病気を防除する、という手法とはまったく逆で、最も自然親和的な庭づくりである。

残念ながら、いまこの手法を理解・実践している人はあまりにも少ない。これを続けていると空間感覚が鋭敏になり、人の動線や風通しのよい物の置き方にも気を配れるようになる。


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