ハマチ(天然)1本、イチジクジャムパン甘酒仕込み


今日は午前中にN先生らが来訪するので、掃除したり花を生けたりしていたら、玄関のスポットライトが1灯切れていることがわかり、開店と同時に近所のホームセンターに電球を買いに行った。その帰り道、猫餌にと魚市場スーパーKに立ち寄ったら、鮮魚コーナーにけっこうな人だかり。氷の入ったトロ箱にハマチがに2本ずつ転がって激安で売っている。

最近のこの「引き」の強さはどうだろう? 先日「機会があったらハマチ1本の丸元式調理法を全トレースしてみたい」などと書いたばかりではないか。さっそく教科書の『丸元淑生のシンプル料理(1)』「いなだ」の項(146ページ)を開いて5枚おろしから始めた。

いなだ(ハマチ)のような膨らみのある大型魚は、背に沿って包丁を入れた後、脊椎骨(中骨)の上に包丁を入れて5枚におろしたほうがいいのだそうだ。たしかにこのほうがきれいにおろせる。それに、どうせ最終的にはこの形にするのである。

身はしまってぷりぷりである。腹の身には適度に脂ものっている。腹骨はさかさ包丁で刃を下からすくい上げるように入れて、身から離れた骨を引っ張りながら、薄皮だけが骨についたかたちで取れるようにする。

その腹身はすぐに刺身で食べる。「この刺身に薬味はいらない」「清らかさを呑むような刺身である」と丸元淑生は書いている。残りはすべてピチットに包んですぐに冷蔵庫へ。背中は2日ほど水分を抜いて茶漬けにするのだ。これがまた激ウマなのは先日実験済み。

頭は半割りしてエラと血合いを取り、中落ちとともに出汁をとる。これをうどんの出汁にするのだ。

さて刺身である。

醤油に入れたとたん、脂がふわと醤油の表面に散る!

そしてお米はGomyo倶楽部の新米「龍の瞳」を炊いた。その炊きたてご飯にのせて・・・

ぴかぴかの新米にさばいたばかりの醤油味の刺身、これは日本人の味覚の一極地だろう。

今日はyuiさんのご実家から毎年恒例の丹波篠山の黒枝豆を貰ったのでそれをゆがいて付ける。

実はこのハマチ、トロ箱の札を見ると驚くなかれ1本なんと500円以下だった。最初書き間違いでは?と目を疑ったが、いつもの親父さんが「はい、ハマチ○○円だよ早いものがちだよ〜」と声をあげているではないか。そして猫餌に買ったイワシは10数匹で198円だ。あまりに安いので大きめのヤリイカ580円も買った。3つ合計で1.000円ちょっとだぞ!!!

イワシも抜群の鮮度だったので少し刺身にいただいて、頭と中落ちで出汁をとる。もちろんイカも全部食べきれるものではなく、半分以上はピチット保存。しかし、これピチットとフードセーバーがなければいくら安いとはいえ買いきれるものではない。

ご飯はそこそこにして、〆にうどんだ。乾麺の稲庭うどんを購入しておいた。

くだんのテキストでは、ハマチのアラ出汁に昆布を後から入れ、塩と日本酒のみで調味する。

薬味はネギ。

客人のF氏の土産品、無農薬の柑橘類を思い出し、すだちとショウガをあとから。結果的に言うと、このうどんはイマイチだった。それほど濃厚な味の出汁がでなかったのだ。生臭みはなかったけど・・・。

しかし出し殻の肉片にはまだうまみが残っており、バロンにもイワシをたっぷり与えたのだが、出汁をとっている匂いが外に漏れたのか暗くなってもまた鳴き声がして、下屋に降りてこの出し殻肉を与えると食べる食べる(笑)・・・。

N先生からの届け物はイチジクシャム入りの食パンだった。2017年の11月22日から開始されたK邸別宅パン工房でのパン作りはいまも続けられており、今回は僕の作ったイチジクジャムを練りこんだ変わりパンを焼いたのだそうだ。

国産小麦、天然酵母はもろんだが、砂糖も使っておらず、代わりに甘酒を使っている(塩江の米と湧き水で仕上げたもの)。ラベルにはイチジクジャムも明記♬

甘みの少ないジャムが調和してちょうど良いできあがり。このまま食べてもふわりとした食感が良く・・・

焼いてもウマイ。とくにバターでなくオリーブオイルで食べるのが美味しかった!

しかし、魚が安かったとはいえこの大きさ、そして3種類もあると解体と仕込み、そして後片付けはけっこうな手間である。シンクやキッチンテーブルに臭いも残る。僕の場合、内臓や鱗などのゴミは解体後すぐにまとめて急速冷凍の引き出しに入れてしまい、シンクなどのにおいは重曹を溶かした水をスプレーすることで解決している。

魚の解体は慣れだが、独り身では実践できる量も回数も限られるので難しい。朝方Kに集まっていた買い物客はほとんどすべて老人たちであった。老人たちしかここにいないということは、この魚文化がやがて消える運命にあることを意味する。

今日のハマチ1本はコンビニ・ロ○ソンの「冷凍チキンライス」よりも安いのだが(笑)、若い人たちがこの瀬戸内魚介の文化を継承しないことにはどうしようもない。それなくして地元の自然・風土を真に保全・創造しようという気にはなれないと思うからだ。

コロナ禍もあって瀬戸内の高級魚介が売れずに困っているという。素材はある、それを生かす道具もある。だがそれを無駄なく美味しく食べる生活の具現者は少なく、教えるシステムはまったくない。

僕はこのアトリエで今後さまざなまワークショップを展開していきたいと考えているのだが、その中にこの「瀬戸内魚介と新しい魚料理」の学びも視野に入れねばなるまい。たまに食べるイベントご馳走ではなく、暮らしの日常で実践できることが大事なのだ。

追記:このハマチですが、後日ピチットで脱水してヅケ茶漬けにしたのですが脂が生臭く食べれませんでした。アラ出汁もイマイチだったのはそのせいでしょうか。やはり激安物には(とくに魚介は)手を出すべきではないな・・・と再認識しました。

タラゴンとビーツ、野菜料理の愉しみ>


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