2020.7上野原ライセンス講座/1日目


「一般社団法人 大地の再生 結の杜づくり」は今年6月をもって組織を解散する。したがって今回の上野原ライセンス講座はひとつの節目となり、全国からの参加者で賑わう集いになる。北鎌倉の片付けから流れてきたスタッフや参加者、そして明日から参加する参加者で、前夜の古民家は盛り上がっていたらしい。

今回は田んぼと畑が中心の講座になる予定だったが、前日の雨はかなりのものだったらしく鶴川は増水して茶色く濁り、農道のわだちに水たまりができて荒れていた。それだけではない。上流側の田んぼから漏れた水が農道に流れ込んでいる。いわゆるザル田(漏水水田)というやつなのだ。

昨夜は交流会が予定されていたらしいが、北鎌倉からの移動があり時間的に押したので中止になった。そのかわり今日の朝食前に朝作業を6:30からやる、という約束だった。

5月頃から田植えの準備で水路に水が動き始めると、この農道は漏れ水の被害を受ける。そのために横断するコルゲート管を何本も入れ、水切りで水溜まりの水を逃してきたのだが、それには普段のメンテナンスも欠かせない。それが足りていないようだった。

水切りだけでなく水脈の出口の草刈りがなされていないことを矢野さんが指摘する。実は、この水脈の出口ラインの草刈りが非常に重要なのだ。ここの空気流が、晴れている時でも流れていることが、水脈の動きと乾きを促進させる。

だから日常の5分10分の作業を怠らずに、気が付いたときに水切りや草刈りを施しておくことが大切なのだと。

水切りは、小さな蛇行曲線をその場に応じて作っていく。小さな移植ゴテだからこそここのオリジナルなラインが解る。日常的に、大気圧がすでに地面をゆるめている。移植ゴテで掘り進むうちにどこが流れの道筋になるか教えてくれる。「この対話を繰り返さないと、大地に空気が動くということが解らない」。頭で考えるより感覚のほうがはるかに鋭い。

大きなぬかるみや水たまりに有機資材(現地のクルミの枝葉を切ったもの)を置いていく。まず、かたまりのまま置いていき、小枝をバラすのは後からでいい。枝から切って地形に合わせて切った枝を置いて、足で圧をかけてなじませる。足の裏の感覚で地形に馴染んでいるかどうかが解る。そうして、地面から飛び出しているところを切り、仕上げる。

クルミの木は大きく張り出した枝を中心に切るが、自分たちの都合のいいところだけ切っていると、重心や風通しが寄れてくる。ほどよく抜いて、切り戻す。有機資材の調達とはいえ、全体にバランスのいい剪定を目指す。「作業は、人と植物、両方にとって良い関係にならねばならない」

ところでこのクルミは、矢野さんたちは農道の手入れを始める前は、虫食いだらけで実も貧弱だったそうだ。その後、回復したクルミの木の根が昨年の19号台風でこの労働を守ったことは2019.10/15のブログで書いた。

朝食後、再び農道整備の続き。

泥で詰まったコルゲート管は篠竹を差し込んで抜いていく。また上から叩いてやるとよい。

泥が抜けたコルゲート管はそのまま使用する。ただしコルゲート管の上の泥をかいて、周りの枝や炭が見えるように開いていく。

よほど詰まったところは新たにコルゲート管を打ち直す。

その上に有機資材を置いて埋め戻し。

場所によっては植栽を移動して補強する。ここではセキショウを用いている。

農道は借りた田んぼに行き来するために自主的に手入れを始めたものだが、日常利用している地元民もいるし、6月の解禁以降は鮎釣り客もけっこう入ってくる。昨年の台風後の補修は注目されたことだろう。

この農道再生の試行錯誤は「大地の再生」を学ぶ者にとって格好の学習場所になっている。最終的に有機アスファルト舗装で仕上げれば、全国から見学者が訪れるような、ますます重要な場所になっていくだろう。

午後は倉庫2階でミーテングがあり、その後「秋山温泉」へ。夜はやはり倉庫2階で居残り組みで飲み会となる。私は出張の度に夜は矢野さんとの打ち合わせがあるのだが、今日は久しぶりに皆と飲む機会を得た。しかし、さすがに眠い・・・。

(続く)


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