工事は難航したが、なんとか峠を越えたのを見届けて、夜行寝台で高松へ戻ることにする(明日の午後には新しい現場へ車で立たねばならないのだ)。みどりの窓口で空席を問い合わせると、コロナ騒動もやや落ち着いたのかB寝台はずでに満席。雑魚寝の「のびのび座席」超狭い個室「ソロ」に空きがあったので「ソロ」で切符を買った。
東京始発の「サンライズ瀬戸」は横浜22:24の発車となる。乗車まで余裕があったのでコインロッカーに荷物を預け、「吉村家」に行ってみることにした。ご存知「横浜家系ラーメン」の元祖、家系総本山である。が、私はまだ行ったことがなく初体験だ。駅から歩いて15分ほど。いつも行列の店とは聞いていたが、2回折り返しの列ができていて驚いた。
先に食券を買ってから並ぶというシステム。小ビールというのがあったのでその券も買って渡すとグラスでモルツが来た。テーブルには刻みショウガ、胡椒、生者ニンニクと普通のニンニクのすりおろし、ニンニクチップ、豆板醤、ゴマなどが並んでいる。
注文のプラ札を渡した段階で「麺のかたさ、かえしの濃さ、脂の量」を伝えるのが家系のスタイル。麺かためで、あとは普通でお願いした。先にライスがくる。ちょっと少なめ・・・。
行列に並び始めてから25分後、ようやく着丼。これが吉村家デフォルトのラーメン(710円)だ。海苔3枚にほうれん草、チャーシューが2枚。量的には多からず少なからず。端正で美しいね。すべての家系はここから始まったのだ。
浮かんでいる脂は鶏皮からとったチー油。
麺は断面が楕円型の中太麺。思ったよりガツンと来る魔的な感じはせず、しかし実にバランスの良い、深い味わい。スープも麺もすばらしい。
そしてチャーシュー。スモークの薫香がある独特のものだ。これが、家系のスープに不思議に合うのだし、このスモークチャーシューのあるなしで家系ラーメンとしての印象はかなり違ってくる。ほうれん草と海苔という組み合わせも独特だが・・・しかしこのスタイル、ここまでよくたどり着いたものだと思う。
途中で行者ニンニクやニンニクチップ、ショウガなどを入れながら、完食。いや、実に楽しいラーメンだった。
食べ終わるとまだ足りない気が・・・「かため、多め、濃いめ」にしてライスをダブル、さらにいくつかのトッピングを追加して、がっつり行きたくなるのもわかる気がする(やらないけどw)。残念ながら、四国にはまだ美味しい家系がない。【町田商店】か【王道家】来てくれないかな。
横浜駅のホームは東海道線の各駅停車が止まるホームに地味に滑り込んでくる。ほんとにこのホームでいいのか心配になり、駅員に確認したほどだ(笑)。ラウンジ席に行くと3組が弁当箱やつまみを広げながら飲んでいるのだった。
東京駅からの滑り出しは建物やネオンが美しいが、横浜から先はすぐに暗くなる。もう仕事の資料を広げる元気はない。ソロの箱に戻り、音楽を聴きながら横になった。