野風草の朝食。豆乳ヨーグルトにきなこ、黒豆、無添加ジャム。これを毎朝常食されているという舘野さんは「リマ・クッキングスクール」でマクロビを学ばれた本格派で、野口整体にも詳しい。朝、整体の指導もしていただいた。
今日はいよいよ縄文小屋のメンテナンス。7年前に約1年かけてこつこつ作り上げたという。フレームは廃材の柱と竹。茅葺きはススキ、ヨシ、アズマネザサ、稲わらなどが使われている。
所々、割り竹で押さえがしてある。制作にはいくつか遺跡を巡って(八ヶ岳周辺には縄文遺跡が多い)サイズなどを検討したそうだが、上部の構造は現代人の空想の産物で、正確なところは解らないらしい。
矢野さんたちはベースに縦穴を掘ることはせず、表土の腐葉土層だけを剥ぎ取って、地山を出してそこをベースとした。剥ぎ取った土を周囲に輪のように盛り、そこから垂木(竹)を立てている。内部は湿った感じはなく、よく乾いている。
屋根材の拭き方は上部は素材の根元を上に、下部は根元を下に使っている。だから屋根の中央部で素材の先端同士(細く柔らかいほう)がぶつかって噛み合うように作られている。
私が屋久島で作ったものは垂木が棟木まで一本通しで合わせたが、この縄文小屋は横梁の部分から新たな部材で鋭角に立ち上げている。だから背が高いシルエットになっていて、それゆえ煙の引きも良さそうだ。
朝方、舘野さんの畑を少し整備する予定なのだが、先に全員がなかに集まり、ちょっと火をつけてみようということになる。
炉は意外に小さい。これは遺跡の石組みをほぼ真似したもの。石はきれいに円形を目指さず、ややランダムに置かれている。矢野さんは焚き火においても空気流をとても気にする。とくに面白いと思ったのは、焚き付けの放射状に組んだ小枝の周りに、やや太枝を多角形で囲うように置くことである。その材は重ねしろを作って置くと、隙間から炎に向かって空気が入る。
やはり、煙はよく抜けた。これだけ高いと煙突効果もあるだろう。
火の上がりを確認したら畑へ。立野さんからこの畑と自分の目指す自然農の概要を聞いて、
矢野さんの指導の元、畝溝切りと草刈りの調整作業を2時間ほど。
そして再び縄文小屋に戻り、メンテナンス作業開始。
吹き替るのではなく挿しガヤの作業となるが、まず棟木付近に竹を追加して素材を刺しやすくする。また入り口の柱を杭で補強する。
ここで昼食。具沢山のうどんだった。出汁にいたるまで動物性の食材はまったく使われていないのだが、甘く優しい味にしみじみと感動する。
デザートはサツマイモやクルミが片栗粉(?)で寄せ団子のように蒸されたもの。これも美味しい・・・。
さて午後の部。イネわらが終わったので敷地で刈ったネザサをシュロ縄で取り付けていく。
てっぺんはけっこう高さがある。こうして上部だけは挿しガヤができ、雨漏りの心配はなくなった。最後はハサミで先端を刈り揃える。
矢野さんの合図で中に再び火を灯す。
上部の穴はだいぶ小さくなったのだが、煙はこもらずよく燃える。
参加者全員で火を囲み、お茶を飲みながら感想会をして終了。
「縄文小屋が欲しい!」という声が続々と上がった(笑)。
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※技術レポートは「大地の再生HP>活動事例レポ」に掲載しています。