家づくりは考えねばならないことが山のようにあり、一方で時間軸はいやおうなく進んでいくので、照明に関しては考えがまとまらないまま進んでしまったところがある。
とくにわがアトリエは「現し天井」で1階は梁と桁がむき出しになるので、配線を隠すことができず、照明の選択が難しい。
よく行われるのは梁・桁の下にレールをつけるスポット照明や、梁・桁の側面に裸電球を横付けしてしまうやり方だ。寝室は、設計では前者にしておいたのだけど、実際に工事が進んでくるとその照明方法は空間に合わないことが解ってきた。
そこで、電気工事の人には「とりあえず壁の上のほうにコンセントだけ付けといてください。あとは自分たちで考えますから」と言っておいた。
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最初は無難に和紙のぼんぼり照明がいいかなと考えた。イサムノグチや古都里-KOTORIもいいなぁ・・・などと思った。配線は隠さずに梁すれすれを垂らしながら繋いでいけばよい。
が、考えてみればこの部屋は漆喰で全体が白いのだから、壁付けの間接照明で壁自体を発光させるのが利に適っているし美しいのだ。
器具構造のイメージはフランクロイドライトのフロアランプ「タリアセン」のようなもを作ればよい。
材料は木で作る。小幅板で裸電球をコの字形に囲んでしまえばよく、それを壁付けにし、下部は和紙をくるんで枕元で本を読むときに眩しくならないようにする。
使用した板は例によって残り物の端材。和紙はループに垂らして空間をつくれば熱も逃げやすいしホコリも掃除できる。電電はまっすぐ下ろすとアッパ―ライトの効果を殺ぐので横に避けてきれいな曲線の位置で垂らせばよい。
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ひもスイッチ付きのソケットを板にセット。ひもが引けるように工夫しておく。
両袖は方持ち梁なので欠き込みを入れてからビス止め。
壁付け・配線する前に、正面の板を仮止めしてから雰囲気を確かめてみる。
配線してビス止め。穴はインパクトドライバーが操作できる位置に、バラ板でビスが効く場所へ、慎重に。その後に正面の板をつける。
和紙を切ってボンドで貼る。ヒモの先にはむかし作ったクルミのストラップを付けてみた。
配線が明かりを邪魔しない位置から上に伸びるよう、ステップルで一カ所止めておく。
40Wの白熱電球で点けてみる。この部屋は私たちが漆喰塗りしたのでコテ跡が目立つのだが、そのテクスチャが目立って思わぬ効果が現れた。
紙はむかし個展で使った手透きの西ノ内和紙を再利用。この和紙は白くて薄いのだけど、読書灯としての眩しさは全く感じなかった。
しかし照明器具は買えば高いが、自分で作れば実に安いものだ(1灯1,000円かかっていないと思うw)。
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▼おまけ、西ノ内和紙を使った当時の紙芝居ライブ&個展(2014.1/水戸「ナムチェバザール」)