大地の再生@仙台秀明/3-2.溝底の形、穴開きU字溝、エアースコップ


勉強会、昼食の後は再び作業。信者さんの有志が手伝いに入る。

通気浸透水脈の続きである。

コルゲート管に枝葉の有機物が被せられる。見た目は相変わらず地味だ!

矢野さんがU字溝を壊しにかかる。穴を2カ所開けてから掘り起こしていく。

U字溝は地中の空気通しを妨げる天敵といってよい。ならば最初から設置しない、もしくは穴開きのU字溝を使えばいのだが、宅地造成の法律でのり尻には表面排水施設の設置が義務付けられれいる。そして穴開きのU字溝というものはまだ既製品では存在しない。

ライン全体を掘り起こした後、集水桝の枠を破壊し始める。桝のふたとグレーチングの部分が地面から上がりすぎているのを修正するようだ。

U字溝を剥がした跡にもう一度ブレーカーで溝切りをする。

そこにコルゲート管を入れるために人力(剣スコップ)で穴掘りを決めていくのだが、信者さんたちの仕事ぶりを見ていた矢野さんから指導が入る。剣スコによる溝の掘り方は、底をまっすぐ平らに削るのではなく、(とくに傾斜地では)やや階段状になっていたほうがいいという。

それも掘り跡は左右にずれたウロコ状がよい。こうすることによって、流れは等速化し、縦方向にも浸透しやすくなる。泥アクもこの水脈の底地によって消えていく。なるほど、言われてみればよく解る。重機もバケットで掘るのではなく、ブレーカーと手掘りの組み合わせのほうが、この有機的形状を作りやすいわけだ。

さて、小屋の軒だが、コンパネを張ったはいいが、仕上げはどうするのだろう? と見ていたら、壁材と同じく製材丸太の端材を打ち付け始めた。ここで3時のお茶。地元の信者さんたちが話す気候風土の話題が面白い。

お茶の後はコルゲート管の設置。

もちろん炭と有機物。

その上にU字溝を乗せて戻していくが、蓋をするように被せるのではなく横置きにするようだ。

そして法面の角度が出始めるあたりからその方向を変えた。最初は道側に底部を向けていたが、途中から法面側にしていく。

いずれにしても、地中には2つの通気ラインができることになる。しかし、持ち上げてみるとよくわかるが、コンクリートのU字溝というのはけっこう重いもので、これが地面を押さえつければ空気の通りが悪くなるのがよくわかる。が、重量があれば土留めの効果も高いわけで、空気通しを確保しながら据え付け直せば良いわけだ。「大地の再生」が一般化すれば、穴開きU字溝のような既製品が登場することになるだろう。

枝葉の有機物を運び上げ、U字溝の開口部の側に並べていく。すぐ隣(写真手前)は自然農の畑になっており、すでにイチゴやサラダ菜、エンドウ豆などが植わっている。

そしてU字溝両脇に土を埋め戻す。U字溝は微妙にズレたままだし、開口部には微妙に土が入り込むが、それはそれでいいらしい。公共工事ではこんな処理はあり得ないが、自然農の畑と雑木林という環境下ではこれで十分だろう。

削った枠にコンクリートガラを置きながら枡蓋を乗せていく。三春のときのようにモルタルは使わないようだ。

モルタルによる枠の取り付け(三春’18/6/15)

しかし、それではコンクリートガラの隙間から枡の中に土がこぼれ落ちてしまうので枝葉などの有機物を詰めてフィルターとする。そして大量の炭。いずれ有機物は腐るが、空気通しのいい環境ではそこに植物の根が入り込み、空隙を補完する。

下に降りながら埋め戻しを続け、後続が人力(三つグワ)で仕上げをする。

軽トラが走れる程度の作業道ができていく。本当は、最初から「大地の再生」に沿った作業道とその付帯工事(通気浸透水脈や抵抗柵、グランドカバーなど)ができれば一番いいのだ。

「おかげでとんでもなく無駄で何倍も手間がかかることをやっているよ」と矢野さんは慨嘆し、工事において「実はこのような最初の作業道をどこに入れるかが一番重要なのだ・・・」と言うのだった。

期せずして次の横須賀(葉山)の現場でそれを実現することができる。

夕刻、今日一日でかなり開花したエドヒガンに夕日が映る。

メンバーは花に見とれる暇もなく次の作業。最初に移植した道側のスギがやや傾いているので修正作業に入る。

重機で起こして杭打ちで固定。

そして新兵器登場。コンプレッサーに・・・

エアースコップと呼ばれるものである。これで地面の中に強引に空気を送るのだ。

根を傷つけずに土壌改良できる便利な道具で、樹木医さんなどもよく使っているそうだ。移植した木の根鉢と既存土との間に残る空隙をこれで無くすことができるし、意識的に縦穴を作り、そこに炭を送り込んでコモで蓋をすると、かなり強力な空気通しができる。

最後は夜桜のライトアップを見て終了。

明日の横須賀(葉山)の現場へ行くメンバーの車に同乗し、仙台駅から新幹線に乗る。私だけ郡山駅で降りて車をピックアップ。明日の早朝、三春でサクラを撮影し、横須賀へ向かう予定だ。


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