クレーンで上部を確保できたら再びブレーカーで根周りの掘削。
ブレーカーはめいっぱい首を上げることで奥深くの根を切ることも可能となる。
根周りに着いている下草と表土は採取しておく。
さらにチェーンソーによる根切り。
クレーンと重機の連動作業で倒しにかかる。
重機のアームとの連携作業で無事掘り起こしと倒しが終了。
根の裏側はやはり直根がほとんどない。土がグライ化(無酸素状態で還元化/生物に有害な有機ガスを発する)して粘土状になっている。ここのガス埋設管との打ち合わせでガス屋さんに聞いたところ、「都市部はどこを掘ってもこの土が出てくる」と言っていたそうだ。
今日はすでに時間切れで移送まではできない。それでも根巻きだけはしておく。次回の移送まで乾燥や風化を防ぐためだ。
ラフタークレーンが出場する前にタイヤの泥落としをしておく。運転手さんに空転してもらいマツの枝葉を使って泥を掻く。
タイヤの通り道にブルーシートをかける。公道と隣接した現場では、一般舗装路を泥で汚さない配慮も必要で、こうしておくと後の掃き掃除が楽になる。ラフラタークレーンはナンバー付きで一般道を走行することができるが、時速は30kmほどしか出ないそうだ。ナンバーは「長野」だった。製造メーカーからリースで使用営業しているという。
今回のオペレーターさんはこの重機運用会社の社長さんで、何度かこの移送プロジェクトに来ていただき、その経験豊富なアドバイスに助けられた。
お借りしたマイクロフォン。フック吊りの現場と運転席のオペレーターとの距離が離れているため必須の道具となる。
それにしても、このような現代日本の精緻な重機の技術がなければ、短期間での高木移植はとうてい不可能だ。
ともあれ今回の街なかでの高木移植は、世界的に見てもきわめて希かつ貴重なチャレンジと経験であったことは間違いない。しかし矢野さんによれば「新地で本当に根付くまでにはまだ慎重なケアが必要で、とくに夏の高温時をいかに乗り切るかが重要」だそうだ。
掃除の作業が続く。ブロアーでお借りしていた私道の泥やゴミを払う。
残り時間を使って敷地の端に荷物置き場を作る。杭を打ち、それに番線縛りで角材の柱を立て、雨よけのブルーシートをかけていく。
ぬかるみ避けにマツやスギの枝葉をばらまき、枝が飛び出してあるきにくいところはチェーンソーでカットしていく。ぬかるみの酷い現場ではこれだけでもかなり歩きやすくなり、靴や雨具ズボンの汚れが激減する。
それにしても寒い1日だった。雪は午後から止んでくれたものの、夕刻になると東北仙台は急激に気温が下がる。作業は今日も暗くなる7:00過ぎまで及んだ。
とくに皆のように身体を動かさない取材班の私は、人生初の「ホッカイロ」の使用がありがたかった(笑)。そして銭湯の熱い湯が効く!
明日、もう1日仙台に滞在することになった。