仙台5日目。雪こそ降らなかったが、寒い雨だった。現場の木は全て掘り倒しを終え、矢野さんのスケジュールで明日現地をいったん離れることに。スタッフは現地の片付け作業に入る。
矢野さんは重機をバケットに変えて、埋め戻し作業を始める。
次の工事業者に引き渡すために、掘り出した根を埋め戻して整地するのである。
その方法は。掘りあげたバケットの土をただ放り込むのではなく、実に丁寧で細やかな埋め戻しの積み重ねだった。こうしないとまた地中の色々な問題が起きるとのことだった。
たとえ舗装されるとはいえ、少しでも空気通しのよい土、水はけのよい土地を残しておきたいということなのだ。有機物も少しだけ混入しておく。
丁寧に埋め戻し、平らに均された地面に、さらに溝を切っていく。これも水はけをよくするための仕掛けである。
根掘りで割ってしまった私道のコンクリート部を復旧する。
溝が詰まって水が停滞している場所はぬかるみがひどい。
矢野さんはこれを西日本豪雨の被災現場になぞらえて説明解説してくれた。下流部のダムなどで豪雨がはけきれなくて停滞すると、かなりの上流部にまで液状化が及んでいく。
今日の昼は現場の近所の小さな中華屋へ。ラーチャーセットを頼む。
なかなか美味しかった。とくにチャーシューが秀逸。食べ終わる頃、主人が厨房から出てきて「あんたたち、木の移植している工事屋さんだよね」「いや〜すごいことやってんな〜って気になって、いつも横目で見てたんだよ〜」と気さくに話しかけてきた。
午後から植樹した仙台秀明の現場へ。にわかに天気が晴れて、エドヒガンや移植した木々が雨上がりの陽光に映えていた。
シンボルツリーのエドヒガンは蕾をたっぷりつけている。あと10日ほどだろうか・・・この開花を、ぜひとも見に来なければなるまい。
里山に残されていた竹林と雑木の中にヒイラギナンテンの青葉が輝く。
私も小屋の設置のための荷物移動を手伝った。
矢野さんは次回の移植のための穴を掘り始める。
前回、地下水が湧き出してきた穴をさらに深く。水の好きなスギならここもいいかもしれない。
重機から降りて、手作業に変えて土の感触を確かめる。矢野さんは手感触を常に重視する。重機を使う場合でも、
「水が耕すように、程よく重みをかけながら掘り進んでいく」
と、手の掘りになぞらえてテンションを一定にするのが重要、とおっしゃっていた。
こうして長い5日間の仙台を後にした。
矢野さんと新幹線で名古屋まで。明日は大阪の現場に寄ってから帰る。