20代の後半の頃、丸元料理本に出会って様々な発見があり、以来私は鰹節を自分で削って出汁をとるようになるわけだが、豆料理との出会いも大きかった。そしてもうひとつ、丸元料理本に青野菜の正しい茹で方と本当の「おひたし」を教えられた。
それまで青菜を茹でるには、鍋にお湯を沸騰させて、青菜の束をいちどに放り込んでいた。それでは急激に湯の温度が下がってしまい、再び沸騰を待っていると、結果として茹で過ぎてしまうのだ。
それを防ぐためには、たっぷりの湯に少しずつの青菜を入れてはすぐに取り出し・・・というのを繰り返していくのである。取り出した青菜は冷水にさっとくぐらせて温度を下げ、水気をしぼってザルにとる。これを連続して行なうと、沸点を維持しながら茹でれるし、結果としていちどに放り込むよりもトータルの仕上がりが早い。そして味はこちらのほうが断然おいしい。
湯がく時間はほんの何秒かでよく、野菜を取り出したら次の野菜を入れ、というリズムで続ける。
さらに、「おひたし」というのは茹でて絞った菜を切っておかかをと醤油をかけたものとばかり思っていたのだが、出し汁の中に茹でた菜をひたしたものを言うのだ、ということを初めて知ったのである。これはコマツナだが、ホウレンソウも根三つ葉も同じやり方でいい。
切ったら容器に並べて・・・
昆布と鰹節、醤油、酒でつくった基本のだし汁を注ぐ。
さて、ここでもう一つのポイントがある。だし汁はひたひたではなく「野菜が浮き上がるだけの量」が必要であることを、丸元淑生は力説する。
これで冷蔵しておくとダシの味が野菜に染みて、3〜4日おいしく食べられる。湯がいたキノコ類を加えても美味しい。
だけど3〜4日保ったためしがない。この日も1束を1日で食べてしまった。だいたい「今日はなんだか青菜が食いたい」と思ってコマツナを買ってくるわけで、つまり身体が求めているのだから仕方がないw。
今日のバロンはおひたしの気分に合わせているのか、グリーンのイスがお気に入りのようだった。
しかし、いったい何故こんな寝方をするのかはいまだに謎である。