カレイの昆布じめ


朝、仕事用の資料として西岡棟梁の『木に学べ―法隆寺・薬師寺の美』をもう一度読み返す。この本、2004年の7月、母と奈良を旅行した際、薬師寺の中のショップで買ったものだ。父の長い介護から開放された母にとって、始めての大旅行であった。その足で四国に渡り、母と屋島寺、金比羅山、善通寺を回った。2004年は山への移住を決意した年でもあった。私は法隆寺の境内で母に離婚することを告げた。


昼は畑のネギとM君が持ってきた椎茸と、石田高校の卵を使って味噌汁をつくる。夜はアボカドのサラダと、宴会に出そうと思ったのに忘れてしまった「菜の花の辛子和え」。おっと、刺身の残りも食べておかなければ。ウマズラハギとカレイの残りを昆布じめにしておいたのだ。

昆布にお酢を塗って、ぱらぱらと塩をふった切り身をサンドイッチして一晩置く。すると身が締まってまた別の味わいが生まれる。カレイは皮を引く。

柳刃で丁寧に引きます。

お=、キレイだね♬

ワサビを添えて醤油にちょっとだけつける。ほんのりあぶらがにじみ出しているね。カレイの刺身なんてなかなか家庭では食べれないが、これから勉強して5枚おろしぐらいできるようになりたいものだ。

yuiさんのお供えが頻繁に届くので、私もだんだん甘党になってきたかも?(笑)皆様、ごちそうさまでしたm(_ _)m。

2004年はイサム・ノグチ生誕100年で、香川では様々なイベントが行なわれた年でもあった。母にイサム・ノグチにも出会わせたいと思い、yuiさんと3人で庭園美術館を見た。ところが途中から雷雨。大粒の雨も降り出して、石彫刻が濡れ始めて表情を変える瞬間を見る。イサム家は普通は中には入れないのだが、この日は雨が強く特別に入れてもらえるというラッキーな出来事が起こる。

雨が上がり、四国村の喫茶店で涼んでから、母を屋島寺と展望台に案内する。ねずみ色になった入道雲が動いており、五色台方面に稲妻が走っていた。帰りぎわ、高松の宿までyuiさんに誘導してもらっているとき、再びバケツをひっくり返したような激しい雨が降る。バイクで先導するyuiさんのカッパ姿を見失いそうになるほどだった。

翌朝は早めに東京へ直帰する予定だった。ところが、この暑さの連続する旅でもがぜん体調がいい母が、

「せっかくだから金比羅さんに登ってから帰りたい」と言い出した。

いつか八十八ケ所巡りをやってみたいという母にガイドブックをプレゼントし、善通寺にも立ち寄った。翌月に母はちょうど70歳になる、ちょっと早い誕生日プレゼントだった。・・・・そんな思い出がある。


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