朝、快晴の空を見ていたら、高知梼原町の隈研吾建築群を見に行こうと思い立った。急いでホテルを調べたら満室。が、直接電話してみるとツインが一部屋空いており、シングルユースで泊れるという。料金も安かったので朝食付き1泊で予約。地図でコースを頭に描いてカーナビをセット。坂出から高速に乗り、愛媛周りで行くことにする。
梼原町は2004年、群馬に引っ越す半年前に講演+ワークショップで訪れたことがある。このときはyuiさんに講演中の写真を撮ってもらい、帰りは車で高松へ送ってもらった。当時、地芳峠のトンネルはまだ工事中で、ハードな峠越えで帰路に着いたのである。その出来上がったトンネルをはなんだかタイムマシンのようで、ここを抜けると13年ぶりの梼原町だ。
ホテルは2010年竣工のまちの駅「ゆすはら」内にある「雲の上のホテル・別館」。地元のスギをぶんだんに使った設計。側壁はスギ板をパネルにし、それをモザイク状に貼付けてある。
そして、なんと正面ファサードには茅葺き屋根のような意匠が使われている。
この茅葺きは小さなユニットになっていて、開閉できるらしい。
内部は吹き抜けの空間で、地元物産を置くマルシェになっている。この木のかたちに似せた柱もスギ。
吹き抜けの周囲に回廊があってホテルのドアが見える。
手すりはスチールにステンレスメッシュ。吹き抜けの内装にはやはりスギパネル。平面の2/3くらいはホテルの部屋が占めているが、吹き抜けの壁には鏡が貼ってあり、実際より広く感じられる。
奥に回り込むとフロント。案内板も荷物置きもスギ。
外壁のパネルは節ありだが、内装や家具には無節の板を選んでいるようだ。
壁には一部和紙が張られている。
チェックして3階の部屋へ。エレベーター、ミニマルデザインでお洒落。
3階、床は同じだが天井はスギ。
エレベータ―のドアが開いた瞬間、このスギの天井と案内板の演出にドラマティックな感動を受ける。
このスギのごつごつとした天井はマルシェの吹き抜けの天井と同じパターンで一続きのものなのだった。
製材で出る端材である。
しかも皮むき機のロールの痕をそのままに使っている。長さもまちまち。適当に隙間の開いた黒地がアクセント。
3階の回廊からマルシェと食堂を見下ろす。
手すりはフラットバーに金網。
ここもスギだったらやぼったい。スチールのおかげでスギが映える。
このステンレスメッシュは入り口側の階段にも使われている(荷物置き場になっていたが)。
こうして驚きをリズムを感じながら部屋へ。カードキーで入るという最新システム(差し込むのではなく当てるだけ)。
案内パネルは正方形のスギで統一されており、アイアンの文字が浮かせて固定され、やわらかな影をつくる。スギ板も同様。壁に直づけではなくちょっと浮かせてある。
続く(内部へ)。