徹夜明けで10時頃に仕事が完成。朝食兼昼食に、畑のチンゲンザイの間引き菜(手のサイズよりちょっと大きいくらい)を炒めて食べてみる。いままで蒔いた種でチンゲンサイはなぜか成長がいちばんいい。植えたのは4月下旬だった。味はというと、あまり美味しくない。昨年Y先生に貰ったものに比べて、甘みが感じられないのだった。植えた場所は、畑敷地の中ではけっこう柔らかい土の場所だった。他の場所ではトウグワが跳ね返り、先が曲がってしまうほど地面が硬いところがあって、そんな場所でもシュンギクなどは(成長は遅いけれど)それなりに美味しいものができている。
昨日入手した自然農の資料にチンゲンサイの根のことが書かれていたのでいろいろ考えてしまった。
もし長年、化成肥料や農薬などが投入されていた場合、地中に「肥毒層」という青黒い鋼鉄の層ができてしまい、それが地熱を遮断してしまう。その肥毒層の部分は温度が1~2度低い。これは通常の資材として使われる肥料成分、特に石灰物質などが雨で固まってできるらしい。自然農を目指す場合、まず最初にしなければならないのは、この肥毒層を取り除き、土を自然な状態に戻すことだという。なぜなら、肥毒層の上部だけで新陳代謝していては、本来の植物の性質を発揮できないからである。
肥毒層を取り除いた畑では、植物の根はどんどん深く伸びていき、たとえば自然農の畑でチンゲンサイの根っこを掘ったところ、なんと8m(!)にもおよぶという。肥毒層があると温度が低く、硬い壁に阻まれて、それ以上深く根が張れない。すると、植物は自分で養分を地中深く探すことができず、外からの肥料が必要になってしまう。また、すぐ近くに肥料がある状態が続くと、植物は根っこをどこまでも張り巡らそうとしない。結果として病気にも虫にも弱い野菜ができてしまう。
この肥毒層を取り除くには植物の根を使って毒を吸い上げるしかない。たとえば土の悪いところではススキなど背の高いものができる。それが土を元の状態に戻してくれる。作物としては大麦・小麦、ライ麦、麻、トマト、カボチャ、メロンなどがよく、こうした作物が生育する過程で土が良くなっていくという。
ところで肥料によって栄養を投入して育った作物は病害虫に弱い。これは窒素肥料過多による植物の「硝酸性窒素」が原因で、虫はこの毒を食べにやってくるのだから、実は害虫とは言えない。この余分な肥料を、土は作物の身体を通して出そうとする。具体的には虫・病気を発生させて、そのことを表現する。これは人の自然治癒力と病気を利用した排毒現象と同じものだ。この土の浄化作用を一般の農家は理解できず、農薬で押さえ込んでしまう。また、耕転して堆肥を入れる有機農業でも、「肥毒層」があればその上だけで養分のやりとりをしているわけだから、いつまでたっても本来の自然農のスタートラインに立てない。
無肥料・自然栽培の条件は土にかかっている。その土は「暖かく」「柔らかく」「水はけが良く・水持ちが良い」ものである。前の二つは肥毒層を取り除けばできるが、「水はけが良く・水持ちが良い」はそれだけではできない。これは一般の農業と同じ「団粒構造の土」をいかに作るかにかかっていて、堆肥を入れるのが一番いい方法だ。大切なのは堆肥は土の団粒化のために入れるのであって、作物の養分として入れるのではないこと、である。肥料と堆肥はちがうのだ。一般の有機農業ではこれが合体して同じものになってしまっているのである。
このちがいを認識するには自然界の土の生成を考えればわかる。土は植物の葉・茎・根が微生物の力を借りて朽ち、100年から150年という長い時間をかけてようやく1cmの表土をつくるといわれている(野生動物の糞は直接土づくりには影響しない)。この時間を人間の手で短くさせるのが堆肥だが、これには窒素分の多い動物性のものを入れてはいけない。植物性であっても米ぬかやボカシ(米ぬかを発酵させたもの)油かすはダメ。これらは窒素分が多く、養分供給になってしまい、入れたら肥毒になり、虫・病気が待っている。虫は窒素めがけてやって来るからだ。
自然農を目指す場合、堆肥原料は草の茎、葉、野菜のくず、などがよく、それらは農薬や肥料が使われていないものに限る。そして時間をかけ完熟させ、窒素分を抜いて使う。
以上、先日送られてきた資料からの要約抜粋。
仕事も終わったことだし、温泉でものんびり行くかぁー。と思ったが、天気も崩れそうだし、家の中の掃除なんかをやっていたら遅くなってしまい、結局鬼石町のヤマト便に仕事のデータCDを送りに行ってその足で藤岡の「土と火の里」でも行ってみるか、と。脇道から入ったら結局たどり着けなくて、仕方なく高崎に出て相方の買い物に付き合い手芸店「Tokai」へ。その後、前に空振りだった駅近くの洋食屋「「栄寿亭」で名物のカツ丼を食べる。370円、安くてウマい。でもやっぱり塩っぱかった!