午後から突然「囲炉裏」造りにかかる。アトリエの玄関正面の部屋は土間をおいて大黒柱のある囲炉裏部屋だったものを、前住人はコンパネで塞いでいたのである。それを再び開いて補修して造りなおした。
周囲の枠は廃材。中は石を詰めて粘土団子で補修、昨年からマッキー君で出来た灰をためておいたものを入れて、いよいよ着火。現在の囲炉裏使いは煙を嫌い炭を使う人が多い。が、僕らは以前からこの方法に疑問を抱いていたのだ。
今年の4月、法師温泉で本物の囲炉裏を体験し「これだっ!」と思った。囲炉裏の本質とは「炎」の楽しみなのだ。煙の問題は乾いた薪や燃やし方である程度回避できる。否、煙の香りもときとして悪くないものである。
コンパネを剥がすと土をかぶった炉が現れた。台座は石組みのしっかりしたものである。
2階にあった廃材を切って炉縁に。
石と土と木材のきわのところを掃除する。
廃材角材(南洋材に樹脂入り)で囲炉裏の一角に薪置き場を作る。
上部の湿った土(古い灰)をかきとり、炉のきわの部分に粘土を張り付けて(団子にして叩き付けてから手のひらで均す)灰が漏れないようにする。
マッキー君で作った新しい木灰を入れる。
さあ、点火してみよう!
この家に囲炉裏の炎が灯ったのは何十年ぶりになるのだろうか?
囲炉裏完成後、さっそく吊しカギに鍋をかけ、ほうとう(煮込みうどん)をつくった。灰の部分の広い囲炉裏だと、薪の先端から燃やすことができる。これが最も効率の良い薪を長持ちさせる燃やし方なのだと気がついた。しかも、スギ薪を使っても、この方法だと爆ぜることがない。薪の先端の繊維の穴から水蒸気が出ていくからだろう。
やっぱり、炎はいいものである。この楽しみを日本人は数千年も続けてきて、わずか数十年前にすっぱりと止めてしまった。これはどう考えても不思議なことであり、様々な意味で大変なことであると思う。
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