トラちゃん入場


昨年の2月、友人から薪ストーブが届けられた。それは長野の職業訓練校の生徒の作品だという。本体からにゅっと出た足が日本画の虎みたいで可愛いので、僕らはこの薪ストーブを「トラちゃん」と命名した。が、その重さはなんと80kgもあり、アトリエまで担ぎ上げるのは大変だった。

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そのストーブはこのアトリエのどこに鎮座するのか? 僕らはじっとその機会を待っていた。アトリエ初年の秋冬は、カマドストーブ「マッキー君」が大活躍した。2年目の秋冬は「囲炉裏」にどっぷりとハマった。そして今年、僕らはいよいよトラちゃんを設置したくなってきた。

冬の仕事部屋にストーブが必要だと痛感したからである。コタツと火鉢では座卓での作業になってしまう。机で仕事をするには、湯たんぽと毛布だけでは、さすがに群馬の山間部のすき間だらけの古民家の冬はしんどい。

仕事部屋の和室は、畳を剥がすと板の間で中央に囲炉裏が切ってあることは知っていたので、薪ストーブ「トラちゃん」はその和室の囲炉裏の中に入れよう、ということに決まった。ここH集落の他の家々でも、昔の囲炉裏にダルマストーブなどを置いている家は多い。囲炉裏の上には煙り抜きの空間があるので、煙突が設置しやすい。火をいじるにもそのままで安心な場所だ。が、トラちゃんはなんたって80kgだぞ。灰の上にそのまま置いたら傾いてしまうよね。

昨年の時点でとりあえずアトリエの土間まで運んでおいたトラちゃんを和室に上げるのが、まず難題だった。この古民家は床下(ゆかした)が80cmもあるのだ。これをどうやって持ち上げるか? YKと二人で40kgずつ分担したとして、重量挙げじゃあるまいし、あまりにも高低差が大きすぎる。

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テコを使うしかない。廃材角材を井桁に一段づつ組みながら、テコで前足後ろ足を交互に上げて持ち上げていった。

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途中で井桁が崩れないようにヒモで井桁の各部を縛りながら、前にも滑らせつつ。その姿は、本当にトラがのっしのっしと歩いているような・・・。ようやくトラちゃん入場。

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囲炉裏には石を入れた。敷地に転がっている石をいくつか運び(これもかなりの重さである)、新聞紙にトラちゃんの足の位置を落としたゲージをつくり、足を載せる4つの大石の下に、中小の石を置いて、水準器で高さをみていく。灰の上に不定形の石を置き、その4つが水平にならなけばならない。難しい作業である。

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ところが、トラちゃんを載せてみるとこれがなんと一発で、ぴったりと収まった。どうやって載せたのかというと、やはり廃材角材を使って、テコで動かしていったのである。テコは偉大である。かなり重いものでもテコで浮かせて1点で接地するようにさせると、わずかな力で動かすことができるのだ。

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