林道取材7.(内子の木蝋、四万十の焼き肉)


四万十町へ向かう途中で内子に立ち寄る。和紙と木蝋(ロウ)で栄えた町であり、古い街並が保存されている。重要文化財の旧家を見学、独自の晒蝋生産(さらしろう-=高品質で大量の木蝋を生産できる製法)は海外にも輸出されて、巨万の富をもたらしたという旧家の暮らしぶりがうかがえる。そう、外貨を稼いでいたのは繭だけではなかった。しかし木蝋はその製造の特殊性からか養蚕のように広がりをもたなかった。

もうひとつ見たかったのは道の駅「内子フレッシュパークからり」である。産直の農産物販売や、ハム加工パン焼き販売、農産物直営のレストランの成功例として知られる。ここは企業のCI(コーポレイト・アイデンティティ)と同じように、ロゴマークまで作ってレストランの皿や車にまでそのロゴが使われているなど徹底している。

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地域活性の先進例として全国から注目を集めているのは、ファックスやパソコンなどを早くから導入して、農家と直売所の情報ネットワークを結んだことも大きいらしい。だが、これは情報通で臨機応変にできる人が勝ち、になってしまうのではないだろうか? つまり、負け組の人も相当いるのではないだろうか? そして内子自体がロウで栄えた昔からの「勝ち組山村」なのである。だからこの戦略は広く通じる解にはならないのだ。

日本全国にこの内子のような場所ができている。過去の伝統産業や古い街並、それに産直とちょいと新し気な建物をミックスさせる。グリーンツ-リズムなども含ませる。そこにはヒマな爺婆様とミーハー的若者などが集まる。だけど、これがそう長続きするとは思えない。つまるところ過去の遺産の浪費であり、真の生産性や創造性がないからである。

「からり」で気になったのは、ガラスと打ちっぱなしコンクリートの建築、それにウッドデッキが10年後の今日ではかなり疲弊していて、ガラスは掃除が行き届かず、コンクリートはカビで汚れ、デッキはコケが生えてみすぼらしく黒くなっていることだ。これは足助の総合施設「百年草」でも同じ印象を受けた。その素材と形態が日本の気候風土に合っていないのである。そもそもが「古くなることで美しさが増す」建築ではないのである。

3時過ぎ、四万十町役場へ到着。田辺課長と会見。いま田辺林道を『現代農業』で「崩れる林道 崩れない林道」というタイトルで連載しているが、今回は第7目の連載原稿を中途のまま持って来ている。その内容に関して田辺さんに話しを聞く。そしてすぐに現場へ。

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四万十町ではキリンビールと四国電力が森を借りて山づくりを行なっている。その一部を見せてもらうが、ここでも驚くような林道ができている。急な沢筋を登るS字登はん路である。もちろん沢とクロスするところは「洗い越し」だが、前日はかなりの大雨が降ったというのにまったく損傷がない。

宿は前回も泊まらせてもらった岩本寺にとった。今回の食事は海の幸ではなく近くの焼肉屋。これがまためちゃウマ。四万十町は畜産もけっこう盛んだという。いまどき珍しい鉄板焼きの店だが安くてボリュームがあり、野菜がタダでてんこもりで着いてくる。

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レバーが苦手だったYKが「これなら、食べれるぅ。美味しいっ!」とレバ刺しをぱくぱく食べてる。とんそくも旨い! 田辺さんと課の若手Tさんと林道談義に花を咲かせながら、煙りの上がる中で飲みかつ食らう。ああ、四国だなぁ。

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