早朝、役場で編集部からのFAXを受け取り、田辺さん、Tさんの案内で再び現場へ。
田辺さんは作業道のルート選定をさらに発展させ、新しい概念を編み出していた。これが今回の大きな収穫だった。「崩れない」「開設コストが安い」「集材しやすい」だけではない。これに未来への明るさが加わったのだ。フォワーダーによる集材作業など、現地で働く人たちの姿も見学して、昼に大正町を出発。
須崎でうどんを食べ、高速に乗って徳島からフェリーに乗る。2時間で和歌山へ渡れるのだ。コペンは軽ゆえ、高速代やフェリー代が若干安くて助かる。フェリーではお遍路の爺婆様グループがひとフロアを独占してがやがやと話し込んでいる。四国遍路の「上がり」、高野山へ向かうのであろう。
和歌山でラーメンを食べてみたが、汁の黒い横浜家系という感じで味はフツウだった。ただし茹でタマゴがテーブルに置かれているのが珍しい。再び高速に乗り白浜温泉まで飛ばす。ここで湯につかりさらに南下して、今日の泊まりは本州最南端のキャンプ場(無料)の予定だったが、急に寒波がやってきて寒い。
急遽、白浜で宿を見つけて泊まることにする。この民宿がなかなか良かった。外湯の「崎の湯」の脱衣所で案内広告でみつけたのだが、電話するとすぐ近くだった。素泊まり4000円、宿の中に24時間入れる温泉があり、源泉のかけ流しだ。白浜は湯量が豊富で70数度と熱いので水で薄めて入る。
が、民宿のおばさんは「前に入った人が薄めていたらとにかく源泉をどんどん出して(蛇口のコックがある)、じっくり温泉を味わってください」などと言ってくれるのである。
群馬に来て突然、温泉に目覚めてしまった僕らだが、温泉はかけ流しに限る。いまどこでも見かける立ち寄り湯の「循環湯」というのは塩素臭もあってどうも気色悪い。最近「岩盤浴」というのも流行っているらしいが、あれもやろうと思わない。
ホンモノの温泉は、水を通して地球と対話するのである。その源泉を守るためには、山を豊かに、清浄に保つことが重要であるのは論をまたない。SHIZUKUというユニット名をつけた僕らが温泉に共振するのは、とても自然なことのように思える。