全国的に寒く、ようやく冬到来と感じた一日。西日本で薪ストーブを使っている人たちは、今日から本格的に焚き始める人が多かったのではないか。
こちらも今日は床座りの囲炉裏スタイルで、まったりと火に当たる。
床座りというのはその形態そのものが身体を保温するわけで、とくに足を組むあぐらは足先を膝裏に密着させるのでより温かい。西洋化で椅子暮らしに移行したとき、薪火を手放さざるをえなかった原因はここにもあると思う。
近代建築の巨匠、フランク・ロイド・ライトはその自伝の中で、
「西洋のわれわれには、日本の家に住むことはできないであろうし、住むべきではない。しかしわれわれは少なくとも日本人のように高く美しい理想によって規律づけられた家に住むことは半世紀ほどそれと取り組めばできるであろう。確かに、西洋はこの霊感の泉を必要としている。これだけは、西洋はうまく真似ることはできない。人種の違いが大きすぎる。西洋にとってほとんど他の何よりも日本の家や日本の家庭用品を真似ることは難しい」(『フランク・ロイド・ライト自伝ーある芸術の展開』)
と書いている。これは床座りの生活のことを言っているんだろう。なにしろライトは日本に招かれたとき寒々とした部屋で火鉢一個だけで歓待され「とんでもなく寒かった」ともらしたエピソードがあるのだ。
たしかに椅子の暮らしで火鉢は寒い。しかし、畳に座布団にあぐら、それに腰を隠すちゃんちゃんこを着ながら手あぶりすればけっこう温かいものだ(これで歓待するのは難しいけれどw)。
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二人で左右に分かれて床座りするときは灰の中のレイアウトを変えて三つ爪を中央に移動。ここで燠炭で湯を温めておいて、焼酎のお湯割り徳島産柚子しぼり・・・をやろうという寸法だ♫
炉縁が石(花崗岩)なのでちょいと冷たいのが玉にきずだが、グラスを置く音の響きはいい。それに、スギ板はいくらでもあるから、それを置いていろいろ使うことにする。
ついでにここで鍋をやろうということになり、もうひとつの小さな三つ爪入れ鉄瓶を移動。中央にはを土鍋をしつらえてそこで食べることに。
今日は調理はガス台で行い、囲炉裏のなかに着地させて保温しながらつまむ・・・というスタイル。
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木の皮も燃してみる。意外によく燃える。こんなものでも囲炉裏の場合はいい燃料になるのだ。
が、連続投入していると少しづつフードから煙が漏れているのかかすかに目が痛くなり始めたので、ほどほどにする。やっぱり高気密の家は換気に気をつけないといけないな。ここは古民家じゃないんだから。
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ライトの傑作といわれる「落水荘」には暖炉がいくつかあるのだが、日本の囲炉裏からアイデアを得たと言われている球体のワインウォーマーが有名である。しかし、この装置は1回しか使われたことがないらしく、ここで火を焚いた写真は少ないのだそうだ。
「それにくらべて、主寝室も、書斎も、すばらしい実用的な暖炉をもっている」(三沢浩『「落水荘」のすべて』)
ぜひ見てみたいものだ。
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おまけ。
柿の種を浸していたら根が出てきた。土に植えてみた。実がなるのは8年後らしいが・・・。