古民家の裏側


朝からよく晴れている。このところ夕立が頻繁に来たので畑の作物にはいいが、建物にはよくない。この季節は家を乾かす工夫と手入れをしなければならない。

アトリエの古民家は礎石の上に柱を建てた形式で、縁の下は風が通り乾きやすい構造になっている。が、冬はそれではあまりにも寒いので蓋(扉)がしてある。蓋がしてあっても穴だらけなので十分風は通るのだが、たまに開けてみて地面が湿っているようなら天気の続くときには開けて風を通すようにする。

畑から戻った午前中はその蓋を修理した。木枠に段ボールで補修してあったものを板に張り替えたのだ。といっても、その板は以前床に使われていた廃材の板(マツとスギ)である。板や角材は使えそうなものは燃やさないでとってあるのだ。

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それをてきとうにつぎはぎし、新らしい角材も組み込んで、ビス(木ネジ)で止めていく。古い釘は小バールと金槌で抜いていく。抜けないものは金ノコで切断し、金槌で叩き込む。

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ビスと電動ドライバードリルはこういうとき本当に便利なものだ。釘打ちだと歪んでしまってピタッときまらないときも、ビスなら締め上げることで構造が強くなっていく。カンナとノミの使い方にだいぶ慣れてきたので、頭に浮かんだことがすぐに手の動きになっていく自分に驚く。以前に比べたら格段の進歩だ。

築100年のときからあったと思われるスギの板だが、ノコを入れると赤みも鮮やかに、カンナ屑はスギの匂いがぷんとする。赤芯は強い。まだ補修に使え、端材は風呂にくべられることになる。無垢の木は偉い。

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午後は家の裏の土台回りの掃除。崖が小さく崩れたり、落ち葉で腐葉土ができて、土台回りは少しづつ土のレベルが高くなっていく。放置しておくと地下水位が上がってきて建物によくない。その土を掘って移動し、雨水の逃げ口を掘りなおしておく。

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実は台所の土間が湿ってきたので、危険信号を感じたのだ。すぐに裏手を観察に行ったのだった。

これだけの土を移動した。使ったのは唐グワとスコップ。プラスティックの箕。このレキまじりの土は、あとでふるい分けると石垣の裏込めに使える。

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石垣の天端の草や樹木を刈るのもこの季節の重要な仕事である。ここを開けることで、風が通り、いくぶんかでも陽が差し、家の裏面の乾きに威力を発揮する。

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柱と石の接点が常に乾くように、風が通るように、ここには物を置かず、草が生えたら引き抜くようにして、常に乾燥を心がける。民家の裏側は暗くて掃除するのがおっくうになるが、ここをさぼると古民家は傷みが速い。

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柱の下部が腐って支持力がなくなるようなら車のジャッキを使って本格的に継ぎ手で修理(柱の根継ぎ)するという手がある。よく使われるのが金輪継ぎ。古い社寺建築の補修でこの継ぎ手をみかける。

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「頭に浮かんだことがすぐに手の動きになっていく」ようにサッとこの継ぎ手ができるようになりたいものである。


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