工場の土壁


こちらが元糸繰り工場内部。まだぜんぜん掃除もできず段ボールの山の中、YK読書中。外で火をおこして熾き炭状態になったところでチビカマを工場の土間に移動、という苦肉の策をとっています(ここでのんびりお茶したいときに)。

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ギターの練習もココ。はやく床板の掃除をしたいのだが(杉板のようです)。

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天井はけっこう高い。この内装をこれからどう仕上げるか、後々の改装ネタとして、とびっきりのアイデアがあるのだが、その話はまた後で。

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さて、工場の壁は土壁である。竹小舞で粗壁を打った後、仕上げにネズミ色の漆喰風に滑らかな表面仕上げが施されている。それが所々はがれてきているのだった。おそらく漆喰に地元の泥(粘土)を混ぜて塗り込んだ大津壁※の一種なのだろうか。

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この表面を掻き取り、漆喰を塗り直すのが妥当だし美しく仕上がるだろう。幸い、近隣の栃木県佐野市は石灰の産地で、素人でも塗れる漆喰が安く買える工場・店舗が何件もある。いま、見向きもされず荒廃のまま放置されている竹や篠竹が、その土壁の芯となるのである。

土壁はなにしろ日本の気候風土に合うし、素材は日本でまかなえるし、解体しても再生して使え、ゴミがでない(竹小舞の使い古しは風呂焚きに使えばよいのだ)。そしてこれがまた、囲炉裏や火鉢の暮らしに最も調和するのだ。


※大津壁:「大津は、泥中塗りの生乾きの上に泥と石灰と麻スサをまぜたものを薄く仕上げたものである。東京では、戦後しばらくまで長屋の壁にネバ土という隅田川の川泥に石灰と麻スサを割ったものを塗った。川泥の色でうすい鼠色に仕上がり、それを鼠大津といった」(『左官礼賛』小林澄夫/石風社2001,36ページ)

※スサの役割:塗り壁材料における壁の補強、亀裂防止、曲げ強度を向上させ、作業性がよくなる。 塗り壁材料に弾性力を持たせ、鏝伸び、鏝ばなれをよくし、保水効果もでる。関西では「すさ」と呼び、関東では「つた」と呼ばれていた。

※麻スサ:一般的に土壁には藁スサが多く使われ、漆喰やプラスター類には麻スサが使われている。 麻スサの材料は、かつては、麻農家が繊維をはいだときに出る繊維くずを集めたものを「麻スサ」と呼んだ。また麻からできた下駄の鼻緒の切りくず、地引網、 船舶に使った麻のロープを裁断したものを用いた。 麻農家の激減により、近年の麻スサは、紡績用の亜麻の糸になる前の繊維の束、海外産のマニラ麻やコーヒー袋に使わるジュート麻の裁断したもので代用されることが多い。


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