柳川~熊本(9.森の遊園地)


熊本へ向かう道すがら、柳川へ立ち寄る。こぬか雨のなか、お堀端の柳がすでに新芽をつけている。なんともいい風情。

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老舗の「若松屋」で鰻のせいろ蒸しを食べる。ふうむ、実に久しぶりに食べたけど、これはこれでなかなか旨いものだ。

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竹とスギによる蒸籠。だから美味しい。

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佐賀講演で新著が完売してしまったので、熊本市内の本屋を探してみるが売り切れが多く、結局1冊しか入手できない(泣)。

熊本での目的のひとつは『日本政府の森林偽装』の著者で「林野庁の林業暴走」というブログを開設している平野虎丸さんにお会いすることだ。著書もブログもかなり過激なタイトルだけれど、虎丸さんはとても腰の低い、穏やかな方であった。

そして、やはり豊富な経験と知識をお持ちの方であった。とくに日本の森林の遷移についての見解は、鋸谷さんとまったく同じであった。

「カズラが勝ったためしがない」

「山よりも大きなイノシシは出ない」

「大きな長い目で見ると、自然はいつも強い」

といった、虎丸さん語録が、私にはとくに印象に残った。
こういうことである。

・・・カズラ(ツル植物)が覆うことは、山にとって良くない(荒れた)状態のように思われるけれども、その薮を利用した動植物も多く、たとえばそこはタヌキやヤマドリの隠れ家になり、小鳥が巣をつくる。そして林床では暗樹(いんじゅ)が芽生え、次の世代交代の準備をつくる。

・・・カズラはどんどん大きくなるけれども、巻き付いた木を倒してしまえばカズラも生き残ることができない。そのようなきっかけを通して次の陽樹や暗樹が優勢になる。

「カズラが勝ったためしがない」という言葉は、まさに言い得て妙である。それは「荒れている」のではなく「山がまだ若い」のである。
シイ、タブ、クス、カシなどの暗樹が優勢になって森を形成するようになると、竹も侵入できない。そのような極相の森は、欧米由来の林学では数百年かかると言われているけれども、実は日本ではかなり早く出来上がるのではないか?
私たちは植林美談や林業優勢の情報のなかで、「植林して」「手入れをする」・・・そうしなければ森ができないような勘違いをしている。

実は、このことが、日本の山を語る上での出発点にならなければならないのだ。それを虎丸さんの言葉で再確認できたことは、大きな収穫であった。

夕刻から私の歓迎会という名目で、「エコ学習館」にはたくさんの方々が集まり、自己紹介や熱いディスカッションが行われた。日本熊森協会の方々が「巻き枯らし」を大きな運動にしていこうと鋸谷さんさんの元を訪れ、その森や思想に感動されていたお話。そして、九州の林業の現場で働いておられる方々の情報は、貴重な最前線の話であった。

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サムライ菊之助氏による余興の紙芝居も♪

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私たちを含めたお泊まり組みは、深夜まで話が(なかには若き日の虎丸さんの爆笑話なども交えられ)続けられたのである。

いや~面白かった。


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