必要に迫られ、竹で靴べらを作った。私は普段、スニーカーと下駄と長靴しか履かないのだが、講演などがあるとちゃんとした靴を履く必要があるので靴べらが要るのだった。革靴で来るお客さんのためにも、やはり玄関に靴べらを置いておくべきだと思った。
短めのものなら作り方は単純で、割った竹を靴べら状にナイフで整形していけばよい。が、裏側を薄く削る必要がある。また、先端もややシャープに面取りしたい。
しかしこの靴べら、竹製品としては単純なものであるが、作り方は簡単とはいえない。凹面の裏側を薄くしていくのが難しいのである。私は大丸刀を使ったが、逆目にならないように、様子をみながら彫刻刀をコントロールしなければならない。指先で厚みやバランス確かめながら形を整え、サンドペーパーは使わず丸彫りの痕を残してみた。
穴をあけ組みひもを付けた。実際に使ってみたが、使い心地は良好だった。
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組ひもはyuiさんが自作した丸台で編まれたもの。ミサンガを編むガイドの円盤に、菜箸などを組み合わせて作ってある。
いろいろな編み方があるらしい。靴べらに使ったのは「八つ土筆」というパターン。
今はさらに複雑な「老い松」というパターンを編んでいる最中。
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それにしても竹で作る小物はみな100円ショップで代用できるものばかりである。そうして竹がますます使われなくなったわけだが、魅力ある竹製品は工芸的な高額商品になりがちで、日常の生活用品に美しいものが少ないのも事実。
この現代日本では竹の日用品などでは生活できないのだから仕方ない。が、単純なものにこそ、その人の「形」や精神性というものが出てくる。生活道具も捨てたものではない。
といわけで、もう少し腕をみがいて竹製品を量産してイベントなどで販売するか? と考えている今日この頃なのであります♫